久々に小説の書評を書きます。どうしても働きながらだと、書くことを優先してしまい、読書の時間がなかなか取れなかったりします。今後の自分の方向性を考えてもインプットの時間とアウトプットのバランスは、独立してからも悩んでしまいそうです。
ビジネス書であれば途中まで読んだり飛ばし読みすることも可能だし、それで書評が書けてしまいますが、小説はそういった飛ばし読みができないので、比較的じっくり読む時間を確保したいところです。特に小説家志望であれば、ビジネス書よりも小説を読む時間を多めに取ることが大事なんだろうなあと思っています。
特に文章の書き方とか参考になる小説も多く、特に自分のように小説家志望の人であれば、読むだけでなく模写したくなるような本もあります。(さすがに模写になるとなかなか実践する時間の確保に苦労しますがwww)
その模写したくなるような小説の1つが、この市川拓司さんの「恋愛写真」です。昔2回ほど映画化されていて、その映画版も好き(玉木宏と宮崎あおいが出ていたほう)ですが、
できれば映画で満足した人は、この原作も読んでもらいたい。市川拓司さんの作品の多くに見られる傾向ですが、とにかく文章がきれいで、鮮やかに優しくて切ない世界観を描き出しています。
自然にロマンティックな表現ができる感じが、読んでいて伝わってくる。いやー、この文章技術は盗みたい。こんな感じの表現力を身につけたい。そう思わせる作品です。
模写の題材といえば、昭和初期~戦後の有名小説家の作品を思い浮かべてしまいますが、きっとこの小説も模写に値すると思います。
ということでこの本で印象に残った言葉をシェアしていきたいと思います(もちろん原文ままです)。これを見直すだけで再読したくなります。実際にブックカバーをなくすほど、何回か読んでいます(・・;)
〇心に残る言葉一覧
・あなたは、一人分の幸福をその手に持ってるのよ。
・だったら、あの子は変人なんかじゃない、ただ人よりも少しオリジナルなだけなんだって、
・きっと、綺麗な大人の女性になったら、まわりの男の子たちが放っておかないわよ
・好きな人が好きな人を好きになりたかったの。
・あなたの言葉がうれしいから、捕まえて私の胸にしまってるの。
・私はあの人が好き、それだけで成り立つなら、すごく簡単なことなのに。
・充分よ。ここにいさせてくれるだけで充分。私にとっては毎晩がパーティーのようだもん。
・あなたとの思い出は少しも損われることなく、私の胸の奥の一番深いところに大事にしまわれています。
・思い出しただけで泣けてくるほど素敵なキスってすごいと思う。そんなキスをできた私は幸せ者だとも思います。
・異性を受け入れ、愛を育むために大人になる。全ての命がそうやって手渡され、ぼくらに引き継がれてきた。
・誠人と出会えて、最高の恋ができた。片思いで充分だったのに、思いが通じ合えたなんて、こんな私には出来すぎの人生だった
〇小説にも折り目を付けたりアンダーラインも
よくビジネス書や自己啓発書、その他how to本の場合、本にアンダーラインを付けたり折り目を付けて、すぐに読み返せるようにしている人も多いと思いますが、
自分の場合は小説に折り目を付けたりアンダーラインを引いたりします。少しでも文章の参考にしたいからです。
この小説は、印象に残る言葉が多いので、比較的折り目の多くなっています。
自分が目指す世界観は、市川さんのような優しい感じではなくて、もっとドロドロした世界観だったり、社会派ドラマの要素が高いものだったりするのですが、
できればこの優しく切ない表現力も盗んで、より人間の切なさや悲しさを表現できるような作家になりたいと思っています(^^)