実はすごい文章力|永遠の0から学べる完結で迫力のある文章のコツ

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2015-06-12 20.41.29

そういえば永遠の0の書評を書いていませんでした。これ、文章力がすごいですよね。
これほどわかりやすく、人間の美しい最期を書いて、しかも人生について考えさせられるような小説はあまりなかったような気がします。

win-winではなく、自己犠牲的な精神を書かれていたのが賛否両論あるところかもしれませんが、それにしても美しい最期です。

それでいて、戦争の悲惨さとか、命の重さとか訴えるような道徳的な要素を感じなかったのが良い。小説に限らず、漫画やテレビドラマのような創作物って、道徳的なものを感じると、一気に気持ちが冷めてしまうんですよね。

一種の自己啓発書のように人の生き方に影響を与えそうで、それでいて構成が見事でわかりやすい画期的な小説だったと思います。

〇わかりやすい文章力

永遠の0を読んで感じたのは、この作品の世界観だけではなかったです。個人的にはこの小説の文章が結構印象的でした。

構成が練りこまれていて、グイグイと話に引き込まれてしまうような内容なので、つい文章とか気にしなくなってしまうタイプの小説です。

正直、この構成であれば、多少文章が下手な人が書いても大ヒットしたのではないかと思います。

百田尚樹氏の小説全般に言えることなのですが、簡潔な短めの文章で、リズムが良い。作者独特の表現とか、純文学の作家のような個性的な表現はないものの、ぜい肉の全くないスリムな文章。分厚い本ですが、かなり体脂肪率の低い小説です。

映画でも戦闘シーンの演出が印象的でしたが、原作の戦闘シーンもまた印象的です。

第二次世界大戦時代の作品はあまり詳しくなく、実際に戦闘機に乗った人がどんな感じで空中を舞いながら戦っていたのか想像したことがなかったのですが、

そんな自分でもありありと戦闘シーンの情景が浮かんできます。簡潔明瞭な文章ながら、ビジュアルの描写は徹底している感じがしました。

とにかく迫力を出している。映画では可能な演出ですが、小説ではかなり難しいと思います。迫力を出すそうとすればするほど面長になって逆効果になってしまいがちなんですが、永遠の0にはそれがない。

戦闘機に乗っている人の状態とかをリアルに描写しているあたり、相当調べているのもあると思いますが、ドッグファイトそのものを描くだけでなく、戦闘機の中にいる人物を緊張感たっぷりに描いています。これはかなり凄い表現力だと感じました。

残酷なシーンや悲しいシーンは実は書きやすい印象がありますが、迫力ある人や物の動きを文章で出すのはかなり骨が折れます。これを難なく実現しているのもこの小説の魅力だと思います。

※オーディオブックもあります。

オーディオブック
書影

永遠の0 (ゼロ)
百田尚樹
1,728円

 

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