これまで別記事で持ち家を持つことに対するリスクについて書いてきました。ロバートキヨサキのキャッシュフローゲームで使うバランスシートを使っても、財産三分法を使っても、資産が充分ない状態で持ち家を買うことはかなり危険な状態となります。
どうしても家が欲しいという人もいるし、もしそうであればぜひ叶えてほしいと思いますが、将来的に経済的自由を奪われる可能性が高い、ということを念頭に置いてほしいと思います。
少なくともやがて会社を辞めたいのであれば、持ち家の購入はタブーでしょう。
それでもなお、自分くらいの年齢になると、当たり前のように家を買う人が続出しています。自分の考えがやや特殊なのかと思ってしまうくらい、多くの人が家を買っています。
その中の理由として、「家賃を払い続けるのがもったいない」から家を買うというものです。自分は、これはちょっと違うかな、という気がします。
今回は、なぜ家賃を払うのがもったいないから持ち家購入が、なぜ正しくないと思うのか、思うところを書いていきたいと思います。
ただし、親から土地を譲ってもらったりして、格安で手に入った場合でも、必ずしも賃貸が良い!!と言い張るわけではないので、あくまで参考程度に書いていきたいと思います。
■融通が効かない
他の記事でも書いていますが、持ち家の最大の欠点は、融通が効かないことです。選択肢がなくなります。
賃貸であれば、リストラや給料カットに合わせて安いマンションに引っ越すことが可能ですが、持ち家ではそうはいきません。
会社を辞めたくても、住宅ローンが地縛霊のように束縛するので、なかなか踏み切れない状態になってしまいます。
なので、曖昧な願望で家は買わないほうが良いです。買ってしまったら後に引き返せない。賃貸なら引き返すことができる。
「勢いで買っちゃった♪」という状態だけは、絶対に避けたいところです。
■移動の自由が効かない
基本的に家を買ってしまうと、その土地に落ち着けて住まないといけなくなります。果たして、それが人間の本能なのかどうか、個人的には疑わしい。(このことについては、持ち家と賃貸の幸福感のところで詳しく書いています)
人類進化の歴史を考えれば、穀物類を育てて食べるようになるまで、人類は一定の場所に定住してはおらず、常に移動しながら生きてきました。
食物を狩猟に頼っていた頃は、移動しないと獲物にありつけないということだと思いますが、実はこの歴史が圧倒的に長い。
定住したいという本能を持つ人がいれば、移動しながら生きていきたいという人もいます。個人的に賃貸派と持ち家派の違いはここにあるのかな、という気がしています。
想像を絶するほどのお金持ちであれば家を買っても移動の欲求を満たせるかもしれませんが、だいたいは家を買ってしまうと移動の自由が利かなくなってしまいます。
■マイホームは一種の不動産投資
橘玲氏の「日本人のリスク」という本で、「マイホームとは自分で自分の家賃を支払うこと」と書いています。これは帰属家賃と言うらしいですが、マイホームの購入とは自分で購入して自分で住んでいるのですから、たしかにそうです。
投資という見方をすると、別記事で書いたとおり、マイホームは、多くの人にとって一括集中投資になってしまいます。投資の基本は分散投資と言われていますが、これに反する行為です。
しかも大きくレバレッジをかけています。理屈の上では、レバレッジをかけてFXをするのと、家を購入するのは何にも変わらないことになってしまいます。
■お金を増やせない
これもよく言われるところですが、持ち家は資産ではなく負債になります。資産だったのは、不動産価格が上昇し続けている時代の話です。たしかにこれであれば、賃貸より持ち家が得だったかもしれません。
しかも、上に書いたようにレバレッジをかけていれば、メリットは大きくなりますが、多くの人がわかるように今はそうはなっていません。つまり、逆に大きく損失を被ることになります。
特に今の日本は、アメリカのように内装をリフォームしたからって価値は上がりません。買えば価値が下がってしまいます。
結局持ち家のメリットは各々の所有満足感ぐらいなものです。先に大きな買い物をしてしまうことでローンの支払いに追われ、なかなか貯金できません。所有満足と経済的自由は基本的に反比例します。
貯金よりも支払いが先行してしまうということは、投資に回せるお金が減るということです。当然投資にお金を回せなければ、お金は増えていかないです。この辺は、ロバートキヨサキの金持ち父さん貧乏父さんあたりを読めば理解できると思います。
先に増やすことを考え、資産から生み出されたお金で物を買えるようになれば、経済的自由と持ち家の所有満足感両方満たすことができるかもしれません。
自由を求めるのであれば、先にお金を貯めることを考えていきたいところです。