今回紹介する本は、「モバイルボヘミアン~旅するように働き、生きるには~」(本田直之、四角大輔共著、ライツ社)です。
会社を辞めて何ヶ月か経っているのに、今もこういう本を読むということは、「旅をするように生きる」というキーワードに惹かれてしまう自分がいるということです。
この記事の内容
■自分は旅するように生きているだろうか?
会社を辞めて以降、執筆活動(小説も書いてますよ~)やwordpressのサポート、ブログ相談なんかをしていますが、割と自由に生きていると思います。
組織の束縛がなく、やりたいように、好きなことをして、求められることには応えるようにして決して高くはないが収入を得て、必要最低限な生活をキープすることで、収入を得る。必要最低限な生活にすることは、タイムマネジメントにも役立っていると思います。
ただ、旅するように生きているかと言えば、そうでもない気がします。仕事と遊びのボーダーはなくなっていきましたが、その分移動距離が小さくなってしまいました。
会社を辞めて以降、車のガソリン代の負担が減った気がするのは気のせいではないでしょう。
かつては県境を跨ぐとテンション上がるので、全国の県境を跨いでマニアックな本まで出したことを考えると、そうした旅好きの本能を刺激することをしていないなあ、と思います。
⇒ちなみに過去に出版した本はこれです。
そういう経緯もあって、この「モバイルボヘミアン」という本を手に取ったような気がします。
■モバイルボヘミアンの意味
ちなみに、モバイルボヘミアンの意味は次の通りです。
・モバイル⇒「動ける、動かしやすい、機動性のある、移動型の」
・ボヘミアン⇒「古い慣習にとらわれない人、自由奔放に生きている人」という意味です。
会社を辞める前の自分はボヘミアンになることを望んでいたのだと思います。モバイルを求める以前の状態だったので。
会社員だから自由になれないとは限りません。(実感するのは、会社員には会社員なりの自由があるということ)
ただ、自分は会社勤めには向いていなかった。もっと、自由に慣習に縛られずに生きたかった。ということで、本当に向いている方向に向かいたかったんです。
で、組織から解放され、人間関係も仕事も自由に選べるようになって、今度欲しいのは場所の自由。
しかも、「●●に住みたい」みたいなことではなく、「どこにも住みたくない」という欲求。
この手の話をして思い浮かべるのは、デュアルライフという言葉ですが、著者の二人は、その次元すら超えています。
本田さんはハワイと日本、四角さんはニュージーランドと日本を行ったり来たりしているイメージがありますが、本を読んでいと、それだけではなく、世界中を飛び回っています。
世界中を旅しながら、ITを駆使するほどではなくても、あるものを活用して仕事もこなしています。日本にいなくても。
実際に、この本も1年以上の製作期間中に対面での打ち合わせが一切なかったといいます。
■旅しながら生きることに憧れはなくとも
最近、自分もskypeやzoomを使って打合せしたり仕事することが増えました。最近は遠方の人にwordpressの開設をサポートしましたが、skypeの画面共有の機能を使えば全然可能でした。
今ではカウンセラーやセラピスト、コンサルタントといった職業の方々は、skypeでのセッションが当たり前のように行っています。たしかに10年前にはなかったことです。
だからといって、旅しながら生きることを目指せというわけではありません。ただ、昔ほど場所の制限はなくなってきました。
本書で書かれているように、海外を含めた遠方から東京に行くことは簡単になってきましたし、移動しながらでもタスクをこなすことは可能になってきました。
もはや、場所に縛られなくても大丈夫な時代になってきたのです。生き方がどんどん多様化していっています。しかも急速に。
旅するように生きることは求めなくても、1つの枠に留まった生活、思考を持たなくても良くなったのです。
「生きづらい時代」と当たり前のように聞くようになりましたが、実は本当は「生きやすい時代」になっているのかもしれません。この本を読んで、そのように感じました。
ただ、やっぱり自分はスナフキンのように生きたいなと思います。
■モバイルボヘミアンで印象の残った箇所
ということで、仕事と遊び、旅のボーダーをなくすように生きる考え方、方法について書かれた本で、印象に残った箇所について書いていきたいと思います。
数年前なら、座席に落ち着くとすぐにノートパソコンを開くビジネスマンの姿を多く見かけたと思うが、今はその姿は少なくなってきた。iPhoneを片手にメールチェックや情報収集をしている人も多いだろう。(本文抜粋)
本の内容以前に、妙に納得したところです。たしかに最近ノートパソコンすら見かけなくなったとか思ったら、そういうことだったんですね。
僕は未だにパソコンを開いたりしていますが、メールチェックや連絡のやり取り、facebookの秘密のグループのチェックなんかは、さすがにスマホで全部できます。執筆活動だって、スマホでメモくらいはできます。あとでファイルを転送してパソコンに取り込めばいいし。
経営者が社員を雇わなくていい時代がくるかもしれないのだ。(本文抜粋)
プロジェクトごとに集まって仕事をして、終わったら解散。それを繰り返す。これはたしかダニエルピンクの「フリーエージェント社会の到来」でも述べられていたことですが、この生き方は目指したいです。
以前の職場は転勤こそ多いものの、固定された場所、固定された組織という環境でしたが、今の自分が目指すのは、こういう流動的なチーム構成。組織というよりはチーム。
いや、チームというよりコラボレーションと言った方が良いかもしれません。
その方が人間関係の余計なストレスもありませんし、各々が好きに動き回ることができるでしょう。
働き方は副業から複業(本文抜粋)
会社を辞める前、僕が印税をもらったりブログを書いたりして副業しているという話をしたとき、誰かに言われた言葉を思い出しました。
「それは副業ではなくてパラレルキャリアだね」
もはや言うまでもなく、会社員や自営業でも1つの収入源に頼った生き方は時代遅れで危険です。副業禁止の会社なんて論外でしょう。
1つ1つの収入は多くなくとも、複数の収入源を確保するという考えは共感します。ただ、それを実践できている人は、まだまだ少ない気がします。この辺はいろんな記事で書いていますので、ここでは深く言いません。
「アーティストのように生きる」(本文抜粋)
ワークスタイルではなく、ライフスタイルを基準に住む場所を選び、旅するように生きる。自分自身を取り戻す場所、心の故郷(本書ではホームプレイスと言っている)を見つけることができたら、どんなに幸せでしょうか。
そんな場所を中心に生き、それ以外にも行ってみたい場所に行ってみる。会ってみたい人に会ってみる。やってみたいことをやってみる。そのうち1億総アーティストの時代がやってくるかもしれません。
気持ちいい空間が集中力を高め、クリエイティビティを拡張する。そうやって見つけた「再考の場所」で、いい仕事ができたら、ぼくにとってそれは「最高の時間」となる。(本文抜粋)
そんな場所、今まであったかなあ??ドバイなど、行って刺激を受けた場所はいくつも行ったことありますが、仕事がはかどるという点で旅したことはないかもしれません。旅先は暮らす場所であり、働く場所。そんな書き方に共感しました。
「生活収支の計算」や「お金の勉強」から逃げていると、「お金の呪縛」から永遠に逃れられず、勇気を持って行動を起こしたり、日々挑戦することができなくなる(本文抜粋)
これについては、このブログで何回か違う切り口で書いてきたので、詳細は割愛します。ただ、たしかにこれは間違いないです。
■SNS×マニアックメディア
最も印象に残ったのは、このSNS×マニアックメディアの部分。
マニアックメディアに出演⇒SNSで情報発信⇒メジャーなジャンルのメディアに出演⇒SNSで情報発信(本文抜粋)
という流れのことを言います。これを見た時、「これは力を入れていかねば!」というのと「そういえば似たような経験したわ!」という思いが交錯しました。
というのも、自分は冒頭に書いたように2009年に「県境マニア」という旅エッセイを出版したんです。そして、メディアの取材が今でもたまに。
ただ、こういうマニアックメディアに出演したり、SNSを有効活用できていたかというと、ちょっと怪しいです。講演の機会も頂いたりはしていましたが。
例えが適切じゃないかもしれませんが、今後、県境に限らずこういうマニアックなメディアへの進出を目指して情報発信力を増していきたいと思いました。
発信する情報やコンテンツがマニアックであればあるほど、「個人のブランド」は強くなっていく(本文抜粋)
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