家計簿をきちんと付けて節約しているはずなのに、なぜかお金がたまらない。毎日頑張って夜遅くまで仕事しているはずなのに、なぜかお金がたまらない。
そんなお金に困ってる人は、支出削減や資産運用以前に、お金に対する考え方や習慣などの大前提を見直してみるのも良いかもしれません。
ということで、今回は、そんな大前提が変わりそうな、「一生お金に困らない生き方」(心屋仁之助著、PHP研究所)という本を紹介したいと思います。
この記事の内容
■総評
人間には心の「前提」におけるクセがあります。(中略)でもそのクセのせいで、人生がつらかったり、生きにくかったり、しんどかったり、お金に困っているなら、生きやすいようにお金が入るように、ちょっとクセを変えてやればいいよ、というそれだけの話です。(原文まま)
「資産形成=収入-支出+資産×利回り」という有名な計算式がありますが、ここで紹介されている方法は、お金を稼ぐ方法でもなければ節約術でもなければ、資産運用の話ではありません。
お金に困らない生き方をするための考え方のクセ、習慣。「やり方」ではなく「あり方」を見直そうという言葉をたまに聞きますが、この本はまさに「あり方論」。
正直言うと、読んでいて共感できた部分と共感できなかった部分がありました。例えば神社のお賽銭箱に1万円払ってくるとか、あまり節税しないで確定申告をしたりといった部分は、ちょっと共感できなかったです。
しかし、もともと自分はお金については方法論を重視していました。僕のブログでも具体的な節約方法や投資詐欺に遭わない方法とか書いています。ブログで稼ぐノウハウについても、少しずつですが書いています。
しかし、あり方を考えることはあまりなかったです。なので、この本で新しい気付きを得られたのはたしかです。
もちろん、この本で書いてあるあり方も重要ですし、節約することも重要ですし、経済を勉強して資産運用するのも大事だと思っています。
■お金に困らないための4つの生き方
〇存在給という考え方
この本を読んで、まず新鮮な驚きが得られるのが、存在給という、著者独自の考え方ではないでしょうか。
あなたがまったく働けず、社会の役にも立たず、何の成果も出していなくて、人に迷惑をかけている、寝ているだけの状態になったとき、あなたが月々もらえるお金はいくらですか?(原文まま)
一瞬、不労所得のことかと思いましたが、それともだいぶ違う考え方です。なんといっても、存在給を上げるたった1つの方法が、
自分が働かなくても、価値を提供しなくても、何もしない自分でも、いっぱいもらっていいんだ、という考え方に変えてほしいんです。(原文まま)
これだけなんです。つまり、自分は存在するだけで価値があると認めるということでしょうか。
よく「私には価値がある」というアファメーションがありますが、それに近いかもしれません。
自分の価値を認められないと、お金を受け取れない体質になってしまう。お金は労働の対価ではない。存在給とは、役に立たない、頑張っていない自分の価値を表すパラメータです。
〇がんばるのを辞めて他力で生きる
私「が」がんばらなければ。
私「が」やらなければ。
私「が」稼がなければ。……(本文まま)
がんばらないとは、このような自力で頑張ることを辞めること。この「が」を辞めることが大事だと言っています。
なぜか、私「が」と言っている人は、人を信用していないからだそうです。人を信用しない人が助けてくれることはありません。
がんばるのをやめれば、助けてくれる人がやってきます。いろんなことを武器にしている人がいます。
いろんな「好き」をやりたい人に「好き」をやらせてあげるのが、「他力」を使うということです。(原文まま)
〇「お金基準」から「好き嫌いの基準」へシフト
お金とは、好き嫌いを選ぶ自由のことです。なので、そもそも何かを買ったりするときは、お金を基準にするのではなく、「好きか嫌いか」を基準に買い物すると良いそうです。
お金基準だと、常に不安と恐怖がつきまとい、結果的に「お金がない」意識を作り出してしまうとか。
好きなものとは「テンションのあがるもの」とのこと。
自分はベンツやBMWを見てもテンションがあがりません。大きなマイホームを見てもテンションがあがりません。高級ブランド品を見てもテンションがあがりません。
ですが、旅はテンションが上がります。でも、高いホテルとかにはテンションが上がりません。違う場所に行くこと自体にテンションがあがります。
「テンションがあがるもの」は人それぞれ違います。それが魅力的な個性。テンションがあがるものを我慢することは、個性を潰してしまうのです。
経験上、テンションがあがることにお金と時間をかけると、出版や講演など、ちょっとしたビジネスになることがあります。
欲しくないものまで買って見栄を張る成金ではなく、好きなことにだけお金を使うお金持ちを目指していけば、無駄に浪費することもないと思います。
〇お金持ちごっこをする
お金持ちならどうするか、どういう基準でお金持ちはお金を使うのか、これを考えていけば必然的にお金はたまるとのこと。
心理学でモデリングと言われるそうですが、これは共感します。
本屋に行くと、いろんな成功哲学の本がありますが、これらは基本的にお金持ちの行動と思考が書かれていると言って良いと思います。
具体的に尊敬する金持ちがいれば、その人の振る舞いを想像すると良いと思います。これは日々の仕事やプライベートにも言えそうです。
あの人なら、残業してまでこの仕事をするか?
あの人なら、このあと飲み会に行ったりするのか?
あの人なら、仕事から帰ったら何をするのか?
あの人なら、こんなカロリーの高いもの食べるのか?
あの人なら、これは買うだろうか?
あの人なら、部屋の中はどうしているだろうか?
あの人なら、ここで怒るだろうか?
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