原発事故について考えさせられる絵本「ひかりのりゅう」の感想

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2016-04-02 16.10.23

今回紹介するのは「ひかりのりゅう」(文:小野美由紀、絵:ひだかきょうこ、絵本塾出版)という絵本です。

原発事故について考えさせられる絵本ですが、単純に「原発は反対!」「いや、まだ原発は必要だ」という短絡的なことではなく、将来のライフスタイルについても考えさせられる奥の深い絵本でした。

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■ひかりのりゅう=原子力発電所

絵本の最後の著者の挨拶に、原発事故について触れられているように、この本は東日本大震災時の福島第一原発事故を思い起こさせるような内容になっています。

「ひかりのりゅう=原子力発電所」という構図というのが、読んでいてすぐに想像できるのではないかと思います。

そして、この絵本の光は、原子力発電所のタービン発電機から発生する電気そのものです。「絶対安全」「魔法の生き物」……、高度経済成長期の日本を支えたはずの原発は、一瞬にして世界最大級の汚物となってしまいました。

しかし、自分が語りたいのは、原発うんぬんの話ではありません。将来の子供たち、そして今の大人たちのライフスタイルを考えさせられる絵本という印象があったのは、僕だけでしょうか。この絵本の奥深さを感じたのは、それが理由です。

ただ単に「福島の人がかわいそう」とか、「原発は危険だ辞めちまえ」とか、そんな一方的な論調の絵本であれば、書評記事を書くことはなかったでしょう。

■そんなにエネルギーって必要?

最近自分が好きな言葉に「足るを知る」という言葉があるのですが、この絵本には、どこかそんな言葉を思い起こさせるような感じがしたのです。

これはひかりのりゅうという存在を通して、原子力発電所が、高度経済成長期の日本の人間の物欲によって作られ、景気が停滞しているにも関わらず稼働し続け、ついには地震で「どか~ん」という、結局は大きな負債になる部分を描いていたからだと思います。

原発に限った話ではありません。我々には、これ以上物質的に豊かになる必要があるのでしょうか?そもそもそれって豊かって言えるのでしょうか?

形に残らない幸せというのを、もっと真剣に考えないといけないのではないでしょうか?そうでもないと、どんどん日本が過ごしにくい国になってしまう。

原発事故によって、多少それがグロテスクな形で露わになったかもしれませんが、東日本大震災がなかったとしても、状況は一緒でしょう。違う形で、何かしら露わになったはずです。

原発はこれ以上必要ないかもしれませんが、それ以上に、我々が物質的な豊かさというしがらみ、固定概念から解放されない限り、日本の未来が救われることはないでしょう。そんなことを考えさせられた1冊です。

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