「結婚・出産のタイミングで保険に入るのは常識」が実は非常識
と感じているのは、30代子持ち夫婦の生命保険の加入のところで書きましたが、今回記事に書く学資保険についても、まったく同じように感じます。
この学資保険、既に魅力が全然ないことに気付いている人も結構多いですが(実際に保険営業の方でも学資保険に対して否定的な人が多いくらい)、それでも子供が生まれたら入るもんだと思い込んで加入している人も多いです。
人生において子供の教育資金は大事なお金の問題の1つですから、安心したい気持ちはわかりますし、なかには加入を勧める保険営業もいると思います。
でも、自分は多くの人が感じているように、学資保険には入るべきではないと考えます。理由はもちろん、教育資金を貯めるなら、他の方法が有効だからです。(今回はここは触れませんが)
〇仕組みは養老保険と一緒
別名「子ども保険」とも言われる学資保険ですが、仕組みは養老保険と一緒です。つまり、満期に満期保険を受け取り、万が一親が亡くなった場合は、それ以降の保険金は免除され、死亡保険金が支払われる生死混合保険です。
満期であれば払った以上のお金が入ってくるし(とは言っても年利1%以下の商品は魅力なのか超疑問)、万が一の時に保険料が免除されると聞くと、安心感を感じる保険ですが、これはこれから述べるように、一種の罠ではないかと思います。
〇インフレ時代に魅力なし
一時期、学資保険が元本割れしたことが少し問題になった時期がありましたが、元本割れしなくてもせいぜい年利1%が限界だったりします。中途解約すればそれこそ元本割れするかもしれません。
デフレ時代ならともかく、今のインフレを目指している時代に、年1%では全然魅力がありません。インフレ率が年2%とすれば、実質価値を減らしてしまいますから、この保険に執着する意味を全然感じません。正直、他の金融商品に投資したほうが全然ましだと思います。(逆に損する可能性もありますが、これは学資保険でも同様です)
〇たかだか200~300万円の死亡保険金
学資保険が保障しているのは、せいぜい200~300万円のはずです。この程度の死亡保険金であれば、掛け捨てで月々数百円上乗せして加入しておけば良い気がします。(上乗せするより掛け捨ても解約してしまった方が良い人の方が多い気がしますが)
また、200~300万円は、教育資金の総額と比較するとかなり少額であることを考えると、かなり中途半端な保険のような気がしてなりません。
〇祝い金は払ったお金が戻ってきているだけ
これもよく言われる話です。子供の進学に合わせて祝い金が支払われると、一見嬉しい気分になりますが、よくよく考えたら払った、今まで自分が払ってきた保険料が少し戻ってきただけです。
当然祝い金の分も保険料に含まれていますから、おトクでも何でもありません。詐欺とは言わなくとも、正直小手先のテクニックで顧客を喜ばせようとしているとしか思えない制度です。
〇売り手のドアノック商品?
「保険会社が知られたくない生保の話」(後田享著、日経プレミアシリーズ)という本では、学資保険は実は売り手のドアノック商品ではないかと推測しています。
先に述べたように、教育資金を賄うのであれば、学資保険はせいぜい2割程度の対策にしかならない、中途半端な保険だからです。
子供の進学も考えて、その分増える出費を見直そうと考えれば、無駄遣いを減らす必要性に迫られる。そうなれば無駄遣いの代表例である保険料を削減しようと考えます。とても正しい選択だと思います。
しかし、それでは保険の売り手としては面白くない。そもそも手数料を多く設定できない学資保険は売り手にとっても魅力はあんまりない。
そこで、学資保険に加入させておきながら、さらに教育資金の残りを穴埋めできるように、他の保険の加入やグレードアップに話を勧めるというのです。
当然買い手としては、将来必要になるお金が増えたにも関わらず、無駄遣いするお金が増えてしまうことになります。これは二重苦ですが、売り手としては好都合です。
出産した際は保険に入るのは当然という姿勢ではなくて、本当に必要な保険は何なのか見直して、削減できるのであれば削減する方向で動くのが一番だと思います。全然入る必要ない人も多いので。