お金があって運用する場合も金融知識の必要はあるけれども、お金がない場合も金融知識を身に付ける必要があります。特に借金を抱えているはそうなるでしょう。
今回は身近な借金の1つである奨学金を返せない場合にどうすれば良いのかについて、書こうと思います。というのも、最近奨学金を返せない人が増えているみたいで、よく報道されています。
給付金という位置付けのため、基本的に返済が必要ない海外の大学に比べて、日本の奨学金は借金という位置付けなので、「ふざけるな!」と批判の対象に晒されていますよね。
まあ、それは僕も借金から給付型に改善されるべきと思っていますが、借金という枠で考えれば、奨学金は金利も低いし、救済措置もあるので、良い借金か悪い借金かで言えば、かなり良い借金です。
ということで、今回はその救済措置について、いろいろ書きたいと思います。
この記事の内容
■返還期限猶予制度
〇経済困難
たぶんここが一番重要ではないかと思います。収入がまったくないわけではなく、生活保護をもらっているほど困窮していなくても、返済を10回、つまり上限10年で返済できます。2014年以前は5年でしたから、少しだけ改善された感じです。
特に第一種奨学金は無利子ですから、半永久的に返さないようにしておきたいところですが、もちろんそうはいかず、以下のように条件があります。
給与所得者⇒年収(税込)300万円以下
給与所得以外の所得を含む場合⇒年間所得(必要経費等控除後)200万円以下
ただし、これはあくまで目安であって、必ずしも審査が通るとは限らないみたいです。
〇傷病である場合
何らかの病気や怪我なので、就労困難な場合です。こちらは、傷病が継続する期間、永久に返済期限を伸ばすことができます。
もちろん、不労所得等、何らかの収入が他にあれば該当しません。基準は以下のようになっています。
給与所得者⇒年収(税込)200万円以下
給与所得以外の所得を含む場合⇒年間所得金額(必要経費等控除後)130万円以下
〇生活保護
生活保護受給期間中は、永久に返済期限を伸ばすことができます。傷病の場合もそうですが、条件が外れれば返済の義務が復活します。
〇入学準備中
在学期間終了後1年以内で、大学・大学院などに進学する準備をしている人を対象にしています。また学校に行くんですから、経済困難で奨学金なんか返せるわけがないですよね。
予備校の在籍証明書を出して申請することになります。
〇失業中
失業していれば、奨学金など返せるわけないですよね。失業後6か月以内で、かつ再就職できていない場合が対象で、それ以外の人は経済困難や新卒等の条件で申請することになります。上限10年です。
〇新卒等
在学期間終了後1年以内で、無職・未就職、低収入により返還困難な人を対象としています。このパターンに該当する人も多いでしょうから、忘れずに申請しておきたいところです。上限10年。
申請できる収入の基準は、経済困難の基準が参考値になるそうです。
〇災害
災害に合ったために経済困難になり、変換困難な場合も該当します。災害発生から5年が限度。5年を経過しても低収入を強いられる場合は、経済困難での申請になるのでしょう。
〇産前休業・産後休業および育児休業
これも結構該当する人が多そうなので、忘れずに申請しておきたいところです。育休期間該当中に申請ができます。収入の基準は、経済困難の基準が参考値になります。
■減額返還(おすすめしない)
全額返済期限を延長するのではなく、返済額の1/2ずつを返還して、返済期間をその分伸ばす制度です。ただし、条件が返還期限猶予制度の場合と同様、
給与所得者⇒年収(税込)300万円以下
給与所得以外の所得を含む場合⇒年間所得(必要経費等控除後)200万円以下
となるので、同じ条件であれば個人的には返還期限猶予制度を使った方が良いような気はします。
といいのも、猶予期間は利息が加算されないんですよね。500万円で申請して、3年支払いを伸ばしても、返済額は500万円のままです。つまり、猶予期間中は、第二種奨学金でも無利子になります。
無利子は良い借金です。条件に該当するなら、無理して返済せずに、できるだけ返済を伸ばした方が有利です。
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奨学金をどうやって返したほうが良いかについて、思うところを書いてみた記事です。
返済期限猶予制度を使える条件は、かなり限られてくるので該当しない人は期限を守って返さないといけないのですが、繰り上げ返済すべきかどうか等、その辺について書いてみました。