今回紹介する本は、カフカの名言を集めた、「絶望名人カフカの人生論」という本。
うわー、何だろう。「お前それダメだろう」と思う一方で「認めたくないけど、その気持ちわかるわ……」という感情も沸き起こります。
もちろん自己啓発書とかビジネス書を読んで、モチベーションを上げて、自分の目的や目標を考えて紙に書くことが大事だと思います。
でも、どこか自分で固定概念を作ってしまったり、無理やりなポジティブに逆に苦しんでしまうこともあります。
この根本的な原因は、そもそも自分の願望にないことで頑張ろうとしている、つまり自分に正直になっていないことが原因だと思うのですが、
このカフカのとことん絶望的な名言集を何げに見ていると、どこか自分に正直になれてしまうんですよね。
「この気持ちわかるわ」「今こういう気持ちなのかも」そういう風に感じることで、もしかしたら、今は自分に正直に生きていない、もっとやりたいことがあるのに、それができていない。
本当はこんな風な生き方がしたい、もっと気持ちを楽にしたい、そんな気分がどんどん沸き起こってくる。
よくネガティブな本や映画はセルフイメージを下げると言われますが、なぜかこのカフカの名言集はそんなことがないです。無理して疲れた心を逆に癒してくれるくらいのものがあります。
お勧めするのはどこか気が引けるけれども、やはりお勧めしたい。そんな不思議な本でした。
この記事の内容
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すべて「絶望名人カフカの人生論」に書いてある本文の一部を引用しています。
(1)将来に絶望した!
・いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです
・あらゆる困難がぼくを打ち砕く
・そして、生きがいを感じることでは、非難され、けなされ、叩きのめされました。
(2)世の中に絶望した!
・ひとりでいれば何事も起こらない。
・閉ざされた地下室のいちばん奥の部屋にいることが、ぼくにとっていちばんいい生活だろうと。…(中略)…部屋着で地下室の丸天井の下を通って食事を取りに行く道が、ぼくの唯一の散歩なのです。
・それでも孤独さが足りない。まったく人通りのない谷間なのですが、それでもさびしさが足りない。
(3)自分の身体に絶望した!
・ちょっと散歩しただけで、ほとんど三日間というもの、疲れのために何もできませんでした。
(4)仕事に絶望した!
・ぼくの勤めは、ぼくにとって耐えがたいものだ。なぜなら、ぼくが唯一やりたいこと、唯一の使命と思えること、文学の邪魔になるからだ。
→この気持ち、個人的にめちゃくちゃわかります。副業としてやっていることでいずれ独立したい人ならば、何回かこの気持ちになったことあると思います。
・ぼくの事務室に通じる廊下で、ぼくは毎朝、絶望に襲われました。
・ぼくが仕事を辞められずにいるうちは、本当の自分というものがまったく失われている
(5)夢に絶望した!
・なぜ文学の仕事で身を立てようとしないのかと。…(中略)…ぼくにはそういう能力がありません。おそらく、ぼくはこの勤めでダメになっていくでしょう。
→うーん、なんかこの気持ちもすごいよくわかる。それを打破しようとしているわけですが。しかも、当時はインターネットなんてない時代。ブログのように、パソコン1つで情報発信することもできない時代です。
・ぼくは、ちゃんと物語ることができません。それどころか、ほとんどものを言うこともできません。
(6)人づきあいに絶望した!
・あるいは親しみを感じられない人たちの間にいると、部屋全体がぼくの胸の上にのしかかってきて、ぼくは身動きができません。
・またいろんな人たちとムダな晩を過ごしました。ぼくは彼らの話を聞くために努力しました。しかし、いくら努力しても、ぼくはそこにいませんでした。他のところにもいませんでした。ひょっとするとぼくはこの二時間、生きていなかったのでしょうか。
・友人との関わりについて、いま自分なりに整理してみると、それはむなしい助走であった。
※マンガ版については、この記事を書いている時に知りました。読んだのは、上の文庫本だけです。マンガ版もかなり気になります。
※僕はカフカの作品は読んだことないですが、少し興味が沸いてきました。今まで難しそうで避けていたというのもありますが。