低収入同士のカップルの結婚も同棲もしない、奇妙だが自由な17年間

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2016-06-29 20.27.13

今回紹介する本である「稼がない男。」(西園寺マキエ著、同文舘出版)は、フリーターとフリーライターの低収入カップル(しかも両方とも借金あり……)が、結婚も同棲もしていないのに付き合い続けているという、どこか不思議な関係を維持している17年間を描いたノンフィクションです。

どちらも両方とも親から引き継いだ借金を抱えていて、それでいて低収入なので、どんなにどん底なカップルなのか、と思いきや、どこか読んでいて羨ましくもなる。

組織に縛られないブレない生き方と言うこともできるし、ゆえに自由でストレスがない生き方をしているカップルと言っていい。

会社での仕事や人間関係に疲れ果てた時に読むと、「あ、こんな生き方もして良いんだ」と、ふと心が軽くなる、そんな1冊です。

■生き方の多様性を認めたい

総評として、「人間として生きるなら、こう在るべき」という固定概念に、いかに自分たちが縛られているかについて、とても考えさせられる一冊。

これはダウンシフト(低収入でも労働時間を少なくして、素敵な出会いに溢れて日々健康に行き、楽しく過ごす生き方)に関する書籍全般に言えることですが、この本もまさしくそう。

しかも個人ではなく、カップルのことを描いているだけに、さらに生き方の多様性について考えさせられます。

「お金持ちを目指さなくてはいけない」「一生懸命働かなくてはいけない」「結婚しなくてはいけない」「子供を産まなくてはいけない」「家族を幸せにするために企業で働かなくてはいけない」

それは一種の固定概念で、人間を縛り付けるだけである。この固定概念に従わず、緩やかに生きるカップル。これが本書に登場するヨシオとマキエです。

高校の同級生という2人は、31歳から付き合い始め、著書が出版された際は47歳。ここまで結婚も同棲もしない生き方。読んでいて感じるのは、お金がないということ以外は、まったくのストレスフリーだということ。

比較的有名な大学を出て、大手の企業に就職し、みんなに祝福されながら結婚して子供を産んで、家を買って、車を買っても、全然幸せではなさそう。

それどころか会社のストレスに押し潰されそうになりながら、家のローンの返済や養育費に追われて会社の奴隷として定年までしがみつかないといけない。なのに、定年後も悠々自適な生活が保証されているわけではない。

これこそが本当の悲劇という、当たり前の事実に、多くの日本人が気付いていないような気がします。だって、生涯精神が死んだ状態で過ごさないといけないのですから。

「家族を守るため」「生活費を稼ぐため」「老後の資金を稼ぐため」に心が壊れてしまっては元も子もないではないですか。

そうやって自分自身を縛る生き方のどこが正しいのか。読んでいるうちに、多くの日本人が持っている固定概念、間違った常識に怒りすら感じます。

この本に登場するヨシオとマキエの生き方は、そんな疲弊した日本人に、生き方の選択の幅を広げてくれるような気がします。

もちろん、お金がないのは良いとは思いません。稼ぐことを目指すべきです。でも、もっと自分たちは夢を持って良いのではないでしょうか。好きなことに執着して良いのではないでしょうか。もっと自由を目指して良いのではないでしょうか?

■心に残った言葉(原文まま)

確かにギリギリだけどさ、この仕事、けっこう楽しくやってられるぜ。まあ、時給は安いけど、なんたってラクだもん。会社勤めとかのストレスに比べたら、ぜんぜんたいしたことないよ。

大企業は大企業で、転勤や異動は日常茶飯事だ。会社の都合で、自分の住むところや仕事の内容をコロコロ変えられてしまうなんて、私にはとても考えられない。

収入が生活費ギリギリでは、なにかあったとき、人はやっぱり困るのだ。

私はいつかヨシオがなに大きなことをやらかしてくれるんじゃないかと、心の奥では期待し続けていた。

とにかく、自分がビンボーになってみて、それまでいかに無駄遣いしていたかということが、よくわかった。そして、住む家があるからとはいえ、かなり少ないお金でも、デフレの日本ではけっこう楽しく暮らせる、ということもわかった。

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ダウンシフトに関する本を他にも紹介しますが、こういう生き方、共感します。

お金はあればあるほど良いですが、そのために時間を会社に捧げてストレスに苛まれて精神を壊しては意味がないですからね。いろんな生き方を受け入れることが大事だと思います。お金をパーっと使えば幸せになるとは限りませんからね。

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