今回紹介する本は「3年でトヨタを卒業。貯金もゼロ、人脈もゼロ。そんな私が自分の会社をつくることになった話。」(藤嶋京子著、泰文堂)
文字通り、3年でトヨタという大きな会社を辞める。いくつかの会社を転々としながら、トヨタ時代のカラーデザイナー業務の経験を活かして、ipodnanoケースを仕入れてヤフオクで売る副業をスタートし、これがきっかけで仲間数人と起業。
会社を興したあとも順風満帆というわけではなく、様々な辛い試練を乗り越えて復活したリアルな話が書かれています。
■起業したい人に向けたリアルストーリー
会社を辞めてフリーランスになりたい人よりは起業したい人、経営者になりたい人に向けた本かもしれません。
しかし、本書で何度も出てくる言葉に「自分の人生を生きたい」「このままでいいのか」というのがありますが、そのような思いを抱きながら何となく会社に行っているすべての人は、きっと読んでいて面白い本ではないかと思います。
・トヨタ時代の話
・トヨタを辞めて転職して、その会社もすぐに辞めて地元に戻った話
・地元で派遣社員として働きながら、ヤフオクで出品という副業を始めた話
・仲間数人と起業して、自分が社長になった話
・出会いもあれば別れもある
・クレーム処理の辛い話
・中国に留学した話
・事業縮小、社員をリストラという辛い決断
・苦境からの復活
・今後の会社の展望
これらがリアルに淡々と語られています。起業したいと考えている人は、起業するとはどういうことなのか、どういう困難が待ち受けているかが、想像しながら読めると思います。
冒頭に書いたとおり、決して順調に事が進んでいるわけではなく、精神的にしんどいことも乗り越えている著者。そんな著者を支えてきたのは、やはり「自分の人生を生きたい」という強い思いではないでしょうか。
■会社を3年で辞めた理由
著者は専門学校を卒業したあとにトヨタ自動車に入社。3年間働き続けますが、会社を辞める前、次のような思いが沸き起こってきたそうです。
いま自分のいる場所だけがすべてじゃない。外の世界にはたくさんの出会いが待っている。それなのにこのままでいいのかな。(原文まま)
トヨタは世界的な企業だけれど、このままじゃ狭い世界しか見られないんじゃないのかな。私自身が変わるためには外へ飛び出したほうがいいのかもしれない。このままで終わりたくない。(原文まま)
いまいる枠の中に留まっていたくない。(原文まま)
会社を辞めてでも起業したい人は、全員このような思いを抱いているのではないでしょうか。
自分もどちらかというと大企業に勤めていますが、大きな会社に勤めてしまうと、外の世界が見えにくくなります。会社の中の世界がすべてと思い込む。
これってすごい怖いことで、このような思いを抱くと、1回でも会社の仕事や人間関係でコケようものなら精神を破壊されます。
だって、会社の中が自分のすべての世界ですから、そこでうまくいかなければ、生きている価値がないという極端な考えに陥ってしまいます。
【関連記事】大企業に勤めるメリットよりデメリットの方を意識しよう
また、自分のいまの居場所が最高の場所ではない。自分自身の真価本領が出せる場所は他にあると思う。そう思うと、いてもたってもいられなくなります。
誰だって、自分らしい人生を生きたいもの。会社に自分らしさを奪われるくらいなら、組織を飛び出して自分でビジネスを始める方が良いのはないか。
序盤からそんなことを考えさせられます。独立志向の高い人には共感できる内容です。
■ネットショップにはまった理由
著者はトヨタと次の会社を辞めて、再び愛知県の地元に戻ってきます。派遣社員をやりながら、そこで始めたのがヤフオクの物販。
・やればやっただけの成果が得られる
・自分に変わってインターネットが24時間営業してくれる
これが著者の物販にはまった理由とのことですが、これが非常に共感できます。インターネットビジネス全般に言えることだからです。
ブログもやればやっただけの成果が得られますし、自分に変わってブログが営業してくれます。まさに、その面白さにはまっている最中です。なので、この気持ちはとてもわかります。
まだ副業したことがない人は、ぜひ副業に取り組むことをおすすめします。この面白さは病みつきになります。
■関連記事
【関連記事】思い切って会社を辞める!そんな決断ができそうな本の書評まとめ
他にも思い切って会社を辞めることができそうな本をまとめてみました。会社に留まるか、辞めるか、辞めるならいつか?これを悩んでいる人におすすめの本ばかりです。