去年(2016年)から気になっていたキングコングの西野さんが書いた「魔法のコンパス」(主婦と生活社)を読んだので、書評を書こうと思います。
将来フリーランスとして活躍したい、もしくは会社の仕事で活躍したいが困難に直面している人は、読んでみると結構面白いのではないかと思います。
「なるほど、こういう発想があるのか」と思わせるところがところどころあります。奇抜だがクリエイティブで現実的。
自分の考えが凝り固まっていると感じている人は、一種の起爆剤になり得るかもしれません。330ページくらいの分厚い本ですが、すらすら読めますし、共感できるところだけ読めば良いと思います。
■「生きづらい世の中だ」と嘆く人が羨ましい??
最近、よく聞くようになった、「生きづらくて仕方ない」という救いようのないほどの不幸感に満ちた言葉。とはいえ、自分なんかも、よくこの言葉を使っていたような気がするので反省したいところですが。
西野さん曰く、こういう言葉を発する人が羨ましくて仕方ないそうです。理由は、天然でボーナスステージに立っているから。
どういうことかというと、自分の人生を賭けるほどの「問い」は、居心地の良い場所には落ちていないからだそうです。
例えば「3kg痩せて体重を維持するにはどうしよう?」という問いには、最寄駅の一歩手前で降りて歩かないといけないかもしれない。朝なら早起きして運動する必要もあるかもしれません。居心地の良い環境とは言えません。
居心地の悪い場所には、悩みを解決するための問いが多く隠されているそうです。
本気で「生きづらい」と感じている人は、「羨ましい」なんて言われると、少し腹が立つかもしれませんが、人生を変えるようなことを試されているかもしれませんね。
■ゴミがないと成立しないイベント
知っている人も多いかもしれませんが、西野さんが2015年に仕掛けたハロウィンのゴミ拾いイベント。
前年のハロウィンイベントでの大量のゴミ発生が問題となり、「ゴミは自分で持ち帰れ」「モラルの欠落」という批判の嵐。
でも、西野さんは、ここで「ゴミがないと成立しないイベント」として、ハロウィンの翌朝にゴミ拾いイベントを企画したんです。
結局、2015年、渋谷の朝が一番きれいだったのは「ハロウィンの翌朝だった」と言われるほどに。
問題があるなら、それを力で消そうとするのではなく、それを利用するイベントを作る。この発想は面白いですね。
■お金は信用の一部を数値化したもの
最近多く目にするようになったクラウドファンディング。これのホームレス小谷さんの例が面白いです。
丸1日「なんでも屋」として働くのですが(草むしりとか引越しの手伝いとか)、1日50円しかかからないのだそう。普通なら日給8,000円はもらえそうなことでも50円。
これにより小谷さんは、お金と引き換えに信用を得ました。購入者に「これだけ働かせて50円は申し訳ない」という心理を働かせ、昼ご飯をご馳走してもらったり、飲みに連れて行ってもらったり。
そして、しまいには自身の結婚式を挙げるための費用をクラウドファンディングで募ったら3週間で250万円も集めてしまったという話。
マネタイズの手段が多様化してきた現代、信用の価値はどんどん高くなっているのは確実なようですね。
■仕事になるまで遊びなさい
以下、本文を抜粋しますが、結構よく言われることかもしれませんし、今後多くの人が言ってくることかもしれません。
「好きなことで食っていけるほど人生は甘くない!」という時代から、「好きなことで生きていく」を追い求める時代になり、これからは「好きなことでしか生きていけない」という時代が間違いなくやってくる。
なもんで、土日の休日に好きなことをするために、月~金は会社で苦行に耐えるみたいな生き方をしている人は、ちょっとヤバイんじゃないかな?(原文まま)
だから、今の親は、子供に「遊んでばかりいてはいけません!」と叱るのではなく、「仕事になるまで遊びなさい!」と叱った方が良いということです。
自分の本音に素直に生きる人が生き残ることができ、会社で嫌々働いている人は、いずれ人工知能にとって変えられちゃう(2045年頃と言われている)ので、生き残っていけなくなる。
そうでなくとも、平日会社で苦行に耐えるみたいな生き方は、いずれうつ状態になります。自分が経験しました。
自分で苦行を選択してしまう苦悩は、計り知れないものがあります。いずれ自分のことしか考えられなくなります。
「好きなことをするために、平日は無理に我慢して会社に行く」みたいな生き方、将来の子供のためにもさよならしてみませんか。
会社の仕事に楽しみを見出すか、それとも会社を辞めて独立するか。自分は長年悩みましたが、後者を選びました。
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「The Journey~自分の生き方をつくる原体験の旅~」(四角大輔、TABIPPO編集、いろは出版)という本の書評です。西野さんのインタビューも載っています。