前回、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015」(橘玲著、幻冬舎)の感想をシェアしましたが、ボリュームのある本で、なおかつ中身の濃い本なので、感想が途中で終わってしまいました(・・;)
今回2015と名が付いて改訂版が出たことで、再読を考えている人も多いかもしれませんが、正直言うと中身はそれほど変わっていない印象です。なので、未読者か、前回読んでから時間が経過した人の再読のきっかけには良いと思いますが、そんなに目新しい発見はないと思います。
逆に言えば、金融の基礎に関しては、年月経ってもそんなに変わらないということだと思います。自分だけかもしれませんが経済や金融といえば、日々刻々と変化するものなので、このジャンルは最近書かれた本を求めがちです。
より専門的で、流動的な内容であればその方が良いかもしれませんが、勉強始めたばかりの人は、この本のような古典から入ることをおすすめします。ということで、前回の続きです(´∀`*)
〇国の借金で国民は豊かになったのか?
国の債務残高がGDPを大きく上回っている(現在は245%くらい)のは報道されている通りですが、この本では国債の増発で資金を調達し、公共事業等の形で国民に再分配したと書いています。結果として、国の借金が国民の所得に移転し、今の巨大な個人金融資産が出来上がったと。
不景気だ不景気だ言いながら、他の国に比べれば全然裕福に見えるのは、錯覚ではないという記述には、かなり納得を覚えました。経済的には、意外とどん底まで落ちていないとはいえ、バブル崩壊後、日本人の精神的な閉塞感が高まったのはたしかだと思いますが。
それにこの傾向も頭打ちし、いよいよ低所得層が拡大していくとも書いていますが、既にそうなりつつある現代の日本。平和ボケと平和は違うと思います。危機感を感じつつ、前向きに生きていきたいと感じました。
〇不動産を買ったら資産運用はそこで終わり
財産三分法で住宅購入のリスクを言ってます。自分のような「家を買いたくない派」の心理の大部分を占める理屈ですが、日本人向けに的確に持ち家のリスクを理詰めで語ったのは、この本が初めてかもしれません。
住宅購入のリスクについては、このブログでもバランスシートを使ってシェアしましたが、この本では、さらに詳しく書いてあるので、住宅を購入しようかどうか葛藤している人は、P112以降を読むことをオススメします。
この本を初めて読んで思ったのは、日本人はリスクを取りたがらず投資をしない民族のはずなのに、住宅ローンという大きなレバレッジをかけて巨額の投資をするという矛盾した一面を持っているということです。マイホームに資産としての特権がないのは、この本に書いてある通りだと思います。
ただ、自分のように、大きな一軒家に全然憧れを抱かない人もいれば、多くの地方で「男は家を持ってようやく一人前」みたいな風潮が依然と根強かったり、大きな一軒家に憧れを持つ家庭もあるので、経済的自由に大きく影響するとはいえ、あとは精神的な価値観の問題だと思っています。
〇生命保険は「純愛物語」という名の詐欺商品なのか?
生命保険は、原著で述べているように、その本質は「不幸な出来事が起きたときにに当せん金が支払われる宝くじ」ですが、保険会社は“家族への愛情の証”と宣伝しています。これは、“不幸の宝くじ”としての特徴が、「自分が死んだときに家族を守る」という純愛の物語に適しているのです。(P139引用)
依然として結婚後に生命保険に加入する夫婦が後を立ちませんが、別記事で詳しく書く通り、ほとんどの家庭は不要と思っています。にも関わらず、多くの人が高い保険料を払い続けて大損するのは、「自分が死んでも財産は残してやらねば」という、感涙必至のヒューマンドラマの台詞のような文化が過剰に浸透しているからだと思っています。
たしかに子だくさんの低所得層に限定すれば入っていた方が良いかもしれませんが、それでも子供が自立すれば不要なので、逓減定期保険とか、安価な生命保険で充分だと思います。それ以外の方は無駄だと思っています。
独身者なら両親を扶養する必要のある人のみ、安価な保険に入っていれば良いだけです。(もちろん、自分の貯金が増えたり、両親の寿命が近づくほど必要な保険金は減っていきます)
医療保険やがん保険だって、今の医療制度を考えれば、やっぱり無駄だと思います(これは去年良性腫瘍で入院したときに実感しました)。
入らなくて良いものとは思いませんが、早々と無駄な保険料は解約して、自分で蓄財していく方がよっぽど効率的です。そうでないと、家族を守るはずだった保険が、逆に家族を追い詰めることになってしまいます。
保険自体が詐欺なのでなく、自分自身が要否を判断できないからお金を無駄にする。基本的な仕組みは自分でも把握したいと思います。
【参考カテゴリー】保険の見直しのポイント
〇見えない貧困層にはなりたくない
「家を買い、保険に入り、子どもを育て、税金を払っていては、いつまでたっても資産などつくれるはずはありません」という記述の通り、これから破綻ギリギリの生活を強いられる会社員や公務員が急増すると思います。
教育産業は人件費の塊とは思いますが、将来子供が生まれた時に養育費の問題で泣く泣く教育を妥協するようなことはしたくないと思います。
経済的自由を手に入れたいため、住宅の購入を諦め、保険には極力入らない予定ですが、将来の子育てに関しても持ち家や生命保険は、かなり過激な割合で足を引っ張ると思います。
ファイナンシャル・リテラシーがないと、本当に生活ギリギリの会社員や公務員だらけになってしまうような気がします。それで月に何回も飲み会に行ったりギャンブルを楽しんだり高い車を買っているわけですから、いざという時に破綻するのも仕方ない話かなと思います。
ファイナンシャル・リテラシーを身に付ける必要性は当たり前の感覚かと思いきや、職場で周りを見渡すと全然そうではないのかな、というのが印象です。周囲の常識に流されることなく、原理・原則に従って生きる必要があると強く感じます。
Part2以降は、また後日シェアしていきたいと思います^^