うまく説明できないけれど、子供の頃に読んだ絵本で、なぜか猛烈に記憶に残っている絵本があります。
それが今回紹介する「おっとあぶない」。マンローリーフ(1905~1976)というアメリカの絵本作家が生んだ絵本です。
子供の頃、僕はなぜかこの絵本が好きで、何度も何度も読み返していました。同じマンローリーフの「みてるよみてる」、「けんこうだいいち」なんかも好きでしたが、一番インパクトが強かったのが、この「おっとあぶない」です。
■落書きみたいな絵なのに印象深い
僕と同年代くらいの人だと、もしかしたら小学校の時に図書館で読んだ人も多いかもしれません。
この絵本、他の絵本とは一線を画す、独特な雰囲気がありました。おそらく、読後、この落書きのようでシュールな絵に爆笑するか、どこか漂ってくる恐怖感がトラウマになるか、どちらかのような気がするのです。
簡単そうで、全然時間をかけてない感じで描かれたタッチにも関わらず、強烈なインパクトがあり、誰にも真似できないようなものを感じます。
そして、絵本の内容もまた衝撃的です。
■このほんはまぬけだらけ
この本、思いがけない危険なことをする子供達を警告するような内容ですが、たしかに怖い。
あの単純な線形でシュールで無表情(たまに泣いたり、笑ったりしている子供の絵があるが、なぜか無表情に見える)で、死の危険を冒す姿、なんか恐ろしい。
しかも、すっきりした恐ろしさではないですね。
微妙に小さく幽霊の写っている心霊写真を見たときのような怖さを少し柔らかくした感じでしょうか。後引く怖さです。
でも、子供の時は図書館で爆笑していました。このトラウマになりそうな絵が、当時の自分にツボだったのでしょう。
たしかに爆笑してしまうほど、不思議な世界観を持つ絵本です。
■著者のマンローリーフとは?
この絵本の作者のマンローリーフは、どういう人なんでしょうか。ネットで調べても、なかなか情報が出てきません。
本の著者紹介を見てみると、1905年にワシントンの郊外で生まれ、ワンパクな少年時代を過ごしたみたいです。「おっとあぶない」に出てくるような危険な真似もしていたのでしょうか。
ハーバード大学で英文学を専攻していたと書かれているので、おそらくエリートだったのでしょう。
教員生活を経て出版社の編集者になりますが、そこで絵本担当になります。絵本作家に執筆を依頼する際、自分で絵を描いて作家に説明していたようですが、
その絵がおもしろいと言われ、素人くさい絵であることを承知で、自分でも絵本を書き始めたのが、絵本作家になるきっかけになったのだとか。1976年死去したのことです。
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