自分が前の会社に勤めていた頃、精神的に病んでいた話は別記事でいくつか書いてきました。理想と現実のギャップや人間関係に人知れず悩んで、感情が暴走してキレたりすることも多かったです。
会社を辞めて独立して以降、いまのところそんなことはないですが、自分の前職時代のように、会社の仕事に疲れた、さらに誰か助けて……と思っているのは自分だけではない気がします。
で、このように「疲れた」「逃げたい」「助けて」と思っている人は、誰かにその気持ちを打ち明けているかといえば、ほとんどの人は誰にも言えずに悩んでいるような気がします。
■同じ悩みの共有
昨日、構想中の小説の取材としてですが、家族やお子さんを亡くして、悲しみに暮れている人が集まり、いまの気持ちを打ち明けて自分と向き合うためのワークショップに参加してみました。
参加して思ったのですが、同じ悲しい思いを持つ人が集まって、同じ苦悩を共有する場はとても重要だと感じました。
日本人独特の特徴なんでしょうか。こういう悲しいという思いを人前に出すことを「良いこと」としない傾向がありますよね。
そういうこともあり、なかなか自分の悲しみ、怒り、苦悩、憂鬱を人前にさらけ出せない人がとても多い。
本当は誰かに話したい、でも何か言われそうだし、逆に傷つきそうだから話したくない。そんな気持ちが行ったり来たり。
それゆえに、こういうワークショップとかに参加するだけで、「あ、自分だけじゃないんだ」「私は1人じゃないんだ」と思えたりする。
これって、すごい大きなパラダイムシフトだと思うんですよ。悩んでいるのは自分だけではない。他にもいるんだ。でも、それでも何とか生きている人がいる、話を聞いてくれる仲間がいる、思いを吐き出せる安心安全な場所がある。
小説の取材として行ったにも関わらず、昨日参加したワークショップには、強い共感を覚えました。同じ悩みを共有することは、とても大事なこと。
仲間がいる、お互い支えあえるかもしれない。前を向いて歩けるかもしれない。そこに自分が気付くことって、とても重要だと思います。
■自分の体験談
冒頭にも書いたように、自分は会社の仕事や人間関係で大変だったことを、誰にも言うことができないままのことがありました。
自分が勝手に誰にも打ち明けられなかっただけなのに、それによって「誰もおれの気持ちなんかわかるか」という気持ちになり、他人への興味をなくし、会社の同僚に逆恨みするようになりました。
だから、仕事ではやる気をなくすし(←やる気を奮い起こそうとするのが大変でした)、寮の部屋では大声で叫ぶし、誰もいない会議室の椅子を投げつけてみたり、会議中に資料を投げ捨ててみたり……。いま考えるとゾッとするようなことをしていました。
さすがにこのままではいけない!と思ったのと、理想と現実のギャップから逃れて独立起業したいという思いがあって、いろんなセミナーに顔を出すようにしました。これが5~6年前のこと。
ここで役に立ったのは金融系の講座。東日本大震災やユーロ危機が重なった、あの民主党政権時代の超円高株安の頃。こういう良いタイミングで有益な情報を得られたことで、自分に合う方法で資産を分散することができるようになりました。無駄なお金を使うこともなくなりました。
しかし、なかなか自分の内面を変化させるには至らず、お金は貯まっていく一方で、悩みはそのままでした。人間関係は浅くて広く、本当の仲間と言える人が見つからない日々。
しかし、3~4年前、自分の辛かったことを積極的に自己開示して、それを乗り越えようとしている人に多く出会うようになりました。いま思えば、これが自分にとっての転機の1つだったように思います。
このときに思った自分の気持ちが「自分だけではないんだ」「自分もみんなにいろいろ話していいんだ」ということ。前述したワークショップに似た感情かもしれません。
詳しくは上の記事に書いていますが、こういう感じの人のオーラを見逃さなくて、本当に良かったと思います。人に対する興味を取り戻せたのは、この頃からでした。
これがなかったら、今頃どうなっていたかな……。いまでも会社に嫌々通っていたかもしれないし、独立しても人と関わらずに生きていたように思います。
■飲み会の愚痴はどうか?
このようなことを言うと、「じゃあ、会社の飲み会で愚痴を言っても良いんだ」「誰かの悪口を言っていいんだ」と勘違いされそうです。
しかし、愚痴や悪口とはまた違います。例えば会社の飲み会で出てくる愚痴や悪口は、特定の人への攻撃をして、自分は優越感を感じる行為です。
これは安心安全な場とは言えないし、かえって人間関係を悪化させることになってしまう。
自分も経験したことありますが、こういう話をすると、「これでもやっていけている俺ってすごい」みたいな気持ちになりますが、やっぱり全然すごくないんです。
かえって自分を追い詰めることになり、跳ね返ってきてしまいます。
会社の飲み会の場で必要なのは、こういう愚痴や悪口ではなく、悩みを吐き出すことです。これ、似ているようで全然違ってきます。
今回書いた、いわゆる安心安全な場みたいなのが、家族や組織内でも浸透してくると、全然違ってくるだろうなあ、と思っています。