ミスミソウ完全版の感想|閉鎖的で生きづらい日本を見事に風刺した社会派ホラー

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2016-03-20 09.42.03

3年前に「ミスミソウ」(押切蓮介著、双葉社)という漫画を読みました。完全版とはいえ、上下巻で完結の比較的短い漫画だったのですが、何となく強烈なインパクトのある漫画でした。

この本はブログでも紹介したいと思い、3年ぶりに再読してみました。読み返していくうちに、なぜ強烈に印象に残り、共感したのかがわかったような気がしました。ネタバレなしで感想を書こうと思います。

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■あらすじ(上下巻裏表紙抜粋)

三角草。厳しい冬を耐え抜いた後に雪を割るようにして咲く花。閉鎖的な田舎町の中学に転校してきた少女「春花」を待っていたのは、壮絶なイジメだった。せき止められない憎しみに、少女の心は崩壊する!!

クラスメートにより家族を殺された少女「春花」。少女の心に、冷たい悪意が降り積もり、溢れ出した時、雪深い田舎町で凄惨な復讐劇が巻き起こる。雪解けの後に芽吹くのは希望の花か、悲劇の徒花か――。

■舞台の閉鎖的な田舎は存在する

この読後の後味は決して良くない復讐劇に、なぜ共感を覚えたのかというと、まず舞台となっている、凄惨な殺人事件が起きた閉鎖的な田舎。

これ、現実に存在します。一部の限界集落なんか、まさにこのミスミソウに出てきそうな、周りに何も人もモノもなくて、年中天気が悪そうでどんよりした暗い雰囲気で押しつぶされそうだったりします。

もちろん、そうではなくて「ここ移住したい!!」という限界集落もたくさんありますが、少なくとも自分が住んできた場所はそういうところが多かったです。(ちなみに自分は東京と僻地を行ったり来たりする転勤族です)

それでいて外部からの情報はほとんど入ってこない。テレビやネットからの情報収集だけで、それはもちろん間違った情報も多いわけで、本当にリアルで役に立つ情報が全然入ってこない。

それでいて排他的で、よそ者を排除したがるような空気感。それでいて集団行動を強制するような生きづらさ。これだけ聞くと、もうやってられないという気持ちになりますが、実際にそういう集落は存在していると感じます。

■都会でも存在する生きづらさ

じゃあ、これは一部の限界集落だけの問題か、と言われればそうでもないです。東京や大阪に住んでいようが、こういう暗くて生きづらい組織社会というのは存在します。

むしろ、都会の方が、このどんよりした空気感は強いかもしれません。

会社員の人なんかは、この生きづらい感じ、嫌というほど体感しているのではないでしょうか。周りと足並み揃えて行動しないと浮いてしまう、だから目立たないように気を遣う。

好きでもない仕事をみんなと一緒にやって、嫌いな上司や使えない部下に話をして、何も生きがいを感じることができない。それどころか組織の人間関係は恐怖そのもので、いつ攻撃されるかわかったものじゃない。

そうなんです。このミスミソウの舞台は閉鎖的で暗い田舎町の廃校寸前の狂気に満ちた中学校なんですが、これは企業社会、学校社会、もっといえば日本全体そのものの姿ではないかと思ったのです。

妙に共感を覚えて、後味良くない復讐劇にも関わらず、読後に余韻を残してくれたのは、物語の背景が、見事に日本の現代社会と合致しているからです。

登場人物がどんどんおかしくなって、心が崩壊されていく様子は、まさにそんな現代社会に生きる日本人そのものの心理状態とも読み取れました。

読んでいて何となく悲しい気持ちになっていったのは、作者がそういう部分を見事に描写できていたからではないかと思われます。

この漫画のジャンルは、おそらくホラー(えぐいシーンもある)とか復讐劇とかになるんでしょうが、自分にとっては社会派ドラマにカテゴライズしたいところです。すぐに読み終わりますが、非常に考えさせられる漫画です。

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