人生で大きな転機を迎える大イベントの1つが転職や独立です。転職や独立に踏み切るまでには、単純に転職活動や人脈作りだけでなく、スキルアップを図ったりお金を貯めることも必要なので、一般的には長期的な計画になります。
それだけにいよいよ「会社を辞められる」になったときは、とても嬉しいですよね。いよいよこの会社ともお別れかと思うと清々した気持ちになるでしょう。しかし、ここで大きな壁があります。
退職の意思を会社の上司に伝えるという、非常に面倒な大イベントがあります。これ、本当に緊張します。しかも心地良い緊張ではありません。非常に嫌な汗をかきます。
まず仕事がほとんど手につきません。実際に自分はほとんど仕事が進みませんでした。もう辞めるなら進める必要もなく、誰かに丸投げしても良いのですが。とにかく、人生で一番緊張するといっても過言ではありません。
今回、退職を伝えるのは、なぜこんなに緊張してしまうのか、思うところを書いてみました。いやー、でもこんな経験するなら、もう2度と会社員はやりたくないですね。
■大企業ほど退職を伝えるのは緊張
自分の働いている業界は、いわゆる大手といわゆる会社の1つです。聞いて驚かれるかもしれませんが、離職率2%です。異常なほどの低さです。
100人中98人が会社に留まり続けるんですよ。信じられないけど、そういう会社も未だに存在するんです。なので、毎月会社で公表される退職者一覧の退職理由の大半は、めでたく(?)定年退職する人や、役員に上がった人で、そのなかでたまに転職があるくらいです。
まあ、離職率が低いのは、決していい会社というわけではないんですけどね。会社を辞めたくても、辞められない状況に追い込まれてしまっている人ばかりです。離職率が低いというのは、そういう悲しさも裏に潜んでいるんです。
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独立して起業することを理由に会社を辞める人は、非常に少数派。自分のように執筆活動だけで独立しようとするなんてことはたぶん20~30年に1人くらいではないでしょうか。20~30年後自分の会社が存続しているかどうかは知りませんが。
なので、今までにないパターンなので、上司がびっくりするのは目に見えています。事前に説明を考えておかないと、言いくるめられて白紙になりかねません。また、「おまえそんなに会社が嫌なのか?」なんてことを聞かれる可能性もあります。
退職するなんてイベントは、多くても人生でせいぜい4~5回くらいではないでしょうか。もちろん自分のように初めての人も多いでしょう。初めてとなると、かなり緊張します。
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■誰からも理解されない
そもそも大企業なんかに勤めてしまうと、転職とか役員になるとかでなければ、早期退職は理解されにくい文化があります。
「何考えてんだこいつ」みたいな顔をするのは、目に見えています。まあ、起業したこともなく、会社にしがみつこうとしている人ばかりなので相手にしても仕方ないのですが、上司に伝えてしまったら、自動的に手続きは進んでいきますから、最後の引き継ぎまでそういう色眼鏡で見てくる人と付き合わないといけなくなることです。
そして、「ああ、こいつ辞めるんだな」という目で見てきます。ひどい場合は負け犬扱いしてくる人もいるでしょう。そんな人と付き合うなんて、いじめられるとわかって毎日学校に行くようなものですからね。
閉鎖的な組織社会は、最後まで社員を精神的に縛り付けようとするものです。これは割り切って付き合っていくしかないし、それが嫌で退職時期を延長するわけにもいきません。でも、何とも嫌なところではありますが。
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■本当の理由は言えない
副業して実績を出してから独立する人も多いと思いますが、多くの会社は、どこか頭がおかしいところがあり、いまだに副業を禁止しています。
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こういう言い方をしてしまうと、うちの職場も頭のおかしい会社の1つになってしまうのですが、これが退職の意思を伝える時の弊害になります。
副業していることを上司に言うことができないからです。さすがに退職金が減らされるまではいかないと思いますが、面倒なトラブルを引き起こす可能性があります。
自分の場合は、「いまのブログで30万PV(2016年7月現在の概算)くらい出ていまして」なんてことは口が裂けても言えません。(蛇足ですが、本来ならば30万PV程度で会社を辞めるのは、他人にはおすすめできません)
なので、ある程度別の理由を出す必要があります。自分の場合だと、まだ収入源になっていない構想段階のビジネスについて語るか、漠然と「執筆活動に専念」と言うしかないでしょう。
いずれにしても、副業を説明せずに、あまり嘘をつかずに「とにかく、すぐに辞める必要がある」ということを訴える必要があります。
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■いちいち上司を個室に呼び出す手間
何といっても、想像するだけで緊張するのが、いちいち上司にアポ取って、個室に呼び出して対面で話をしないといけないことです。
もしかしたら、緊張する要因は、これが一番大きなところかもしれません。仕事の用事でないのに、個室に呼び出すなんて、只事でないのは目に見えていますから。
そして、対面で向かい合いながら「実は退職を考えていまして」と話を切り出すことになります。
とても緊張する場面です。人生で2度とないくらいに緊張するでしょう。事前に何度もシミュレーションする必要があるでしょう。
朝起きたら、この場面を何度もシミュレーションする。寝る前にもシミュレーション。仕事時間中もシミュレーションです。自分の反省点なんですが、これは退職を伝える日の2週間くらい前からやったほうがいいでしょう。
できれば、自分の手でこの場面は乗り切りたいところですが、どうしてもできないという場合は、退職代行サービスというものがあります。退職時期が伸びてしまうよりは幾分かましでしょう。
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後日、怖いのを振り切って、とりあえずアポのメールは送ってきました。
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■実は独立後の不安が拭えない
もう1つ、会社を辞める意思を伝えるのに極度に緊張してしまう大きな理由は、背後に独立や転職後の不安が拭えないことが考えられます。
特に独立となれば、そうなるでしょう。収入面で大きな不安を抱えてしまう人も少なくないです。上司に退職の意思を伝えてしまったら最後、自動的に手続きは進んでいきます。もう後戻りはできません。
「後ろのドアを閉める」なんて例え言葉がありますが、まさにそう。大きな理由がこれの場合は、本当に退職を上司に伝えていいものか、たしかに難しいところです。無謀な退職はおすすめできないので。
ただし、準備不足や収入源の不安は、挙げてもきりがないので、収入が支出を上回っているとか、4~5年無職でやっていけるとか、開業資金の必要ないビジネスだとか、そういう要素が揃っているのであれば、思い切って退職しても構わないと思います。
無収入で実績なし、貯金なしで会社を辞めることだけは絶対に避けましょう。
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会社を辞めたいという意思を伝えるのは、どこか極度に緊張するものです。しかし、だからとって、このまま会社生活を続けるわけにはいきません。
転職であれば、すぐにでも会社に言わないといけません。独立であれば、ある程度退職時期を動かせたり、思いとどまったりする余裕はあるでしょうが、だからといって会社員生活を続けても生き地獄なだけです。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがありますが、「退職するは一時の地獄、退職しないは一生の地獄」です。どちらがいいかは明白だと思います。