資産を形成するには、貯蓄が毎月の支出額に左右されるのではなくて、月々の貯蓄額を定めることが重要で、できれば積立投資等、強制的に貯蓄するシステムを自分で作った方がお金を貯めることができる。
しかし、当然月々強制的に貯蓄するようにするのであれば、どんな手段を用いても良いというわけではないです。
だめな方法はいくつかあると思いますが、その中でも個人的にタブーと思うのが、会社の持株会制度と財形貯蓄です。
これらのうち、いずれかに加入している人で、かなりの大金を投じている場合は、すぐに見直しを図った方が良いと思います。会社員であれば、最も身近にある貯蓄方法と思いますが、すぐに手に入る情報ほど、実は怖かったりします。
■持株会制度
まずにタブーなのが持株会制度です。積立投資の中でも、投資に詳しくなくても手を出しやすい身近な方法です。
企業の多くは、株主を増やしたいという思惑から報奨金制度を付けています。10%の報奨金であれば、10万円分自分の会社の株に投資したら、1万円分会社側が余分に出してくれて11万円分の株を買えます。
つまりこの場合、株を買った時点で貯蓄が1万円増えるのです。
持株会制度が人気なのは、株の騰落に関係なく、とりあえずは報奨金で資産を増やせるからだと思います。自分もこれに惹かれて一時期は持株会に加入していました。
しかし、持株会制度の多くは、一定の株数に達しないと売却できないようにしています。つまり、すぐに売りたくても売れないのです。
そりゃそうです。企業側としては株主を増やしたいし、すぐには手放されたくないですから。
売れる株数に達したら売却、また買って一定の株数でまた売却するという手もありますが、それが必ずしも功を奏するわけではありません。株価は急降下する時は早いです。株価が半分になったら、元の値に戻すのに倍増させないといけません。
持株会制度の弱点は、売りたくても売れない時期があるということです。
それと、会社の業績が悪化したら、給料もカットされ、資産も目減りする。もちろん逆もありますが、かなりリスクの高い手法と言うことができます。
本来であれば、人的資本のリスクを金融資本でヘッジするべきと思いますが、持株会制度はその真逆の性質を持っています。
なので、月々の貯蓄の方法として、持株会制度はタブーとなります。
■財形貯蓄
ではなぜ財形がタブーかと言えば、財形は言うまでもなく増えないからです。しかも出金に時間がかかり、手数料もかかります。
これだけ考えればどう考えても普通預金の方が良いです。簡単に浪費できなくなるという心理的なメリットはあるかもしれませんが、資産の増減の観点から行けば全然意味がありません。
ただ、財形給付金制度がある場合は月々数千円くらいは入れておくメリットはあると思いますが、必要以上に利用するメリットはまるでないわけです。
預金なら増えることはないにしても、減ることはないではないか、という意見もありそうですが、それだったら別の貯蓄用の口座を作れば良い話ですし、そもそもインフレが起これば現金の数字は変わらなくても価値は減ってしまいます。
財形貯蓄については、デメリットが多いというより、これといったメリットがないという感じです。
毎月の貯蓄額を定めて貯金を増やしていくのは、資産形成の第一歩とは思いますが、身近な情報に頼ってそのまま加入するのではなく、広い選択肢で蓄財方法を決めていく必要があります。