自己啓発書で時々見かける「自分を好きになろう」「自分を愛する」「自分自身を受け入れよう」という言葉。勇気付けられることもありますが、そもそもどういうことなのか。
「自分を愛する技術」(加藤秀視著、徳間書店)は、自分や他人を責めてしまったり、すぐに落ち込んだり、すぐにイライラしてしまったり、仕事で悩んだり、自分は無能と思い込んでしまったときに共通するのは、自己愛(セルフラブ)の欠如と書いています。
自己愛とは、文字通り自分を愛するということです。生きていく上で必ず必要になるセルフイメージや自己肯定感、自己効力感の基礎となる自己愛。今回は、この「自分を愛する技術」の書評を書いていきたいと思います。
※この本は小説風のビジネス書になっているため、ストーリーのネタバレにならないように気を付けながら感想を書いています。
この記事の内容
■自己変容の3段階
この本の序盤では、次のように自己変容の3段階について書かれています。
ステージ1:アクション
目標設定、行動計画、優先順位管理、タイムマネジメント、金銭管理などの、具体的な行動。現実や結果を実際に形創る役割を担っている場所。
ステージ2:マインド
イメージング、アファメーション、ビジョンマップ、心理学、哲学、信念などの、自己啓発で「マインド系」と言われる部分。現実や結果の青写真、設計図としての役割を担っている部分。「経験を蓄積して自信を形成する」というのは、このステージ2の領域に当たるとも書かれています。
ステージ3:セルフラブ(自己愛)
純粋意識、純粋な自己肯定感、愛し愛される喜び、未来への期待やワクワク、使命感、幸福感など「魂の在り方」の部分。最近「やり方よりも在り方」という言葉もよく聞きますが、この在り方がステージ3ではないかと思われます。
人との繋がりや暖かさ、幸福感を感じさせてくれるのがステージ3であり、現実や結果の創造のために無限のエネルギーを供給する役割を担っていると書かれています。
■自己愛を活用せずに人生は変わらない
学校教育ではステージ1、自己啓発の大半はステージ2。しかし、学校教育や自己啓発を活用して成功できるのは、ステージ3の土台が出来ている人だけと言います。
ステージ3は本当の幸せや満足、充足感、生きがいといったものを与えてくれ、自己啓発や成功哲学といった分野が目指す究極のゴールとのことです。
逆にステージ1や2のようなやり方、テクニック、マインドを行ったり来ているだけでは、ほとんど成功できないとのこと。
■理想の人生を手に入れるための原理原則
自分を愛する
⇒純粋性が上がる
⇒ありのままを見られる、感じられる=真実を見抜けるようになる
⇒想念が解放される
⇒自分ができると知る=使命や夢に気付く
⇒夢が実現する
この本で出てくる、自己愛、純粋性、想念について、簡単に説明しておきます。
自己愛がない状態:自己愛とはすべての活動の基本であり、自信や他者への信頼を作る基盤である。自己愛が確立されていないと、「自分は愛されていない」「人に必要とされていない」となり、不安と恐れに心が支配され、「他人に愛されるため」「社会に認められるため」に行動し、同時に自己否定に走り、挙句の果てには死を選ぶ。
純粋性:ありのままの自分そのもの。
純粋性が上がる=愛のエネルギーに満たされていく⇒自由・統合・調和・協力・与える・肯定。
純粋性が下がる=怖れのエネルギーに囚われていく⇒不自由・分離・偏り・敵対・奪い取る・否定
想念:無意識下に刷り込まれた「これはこういうものだ」という大前提や無自覚な決めつけ。多くの人が持っている夢は、ほとんどがメディアや企業、成功者によって創られた想念。
こう考えると、自分を愛することができない限りは、いつまでも幸せになれないことがわかります。
■願望実現のメカニズム
ステージ2の願望(自己愛を活用できていない):他者を巻き込む力もなく、エネルギーもわかない。
ステージ3の願望(自己愛の活用):他者に伝わり、協力者や同志を引き寄せる。
■自己愛を形成するための思考と行動
(1)自分は何を実現したいのか?を考える
(2)(1)は何のためか?を考える。
(3)(1)は誰のためなのか?を考える
(4)愛することを見つけること。大切な人を愛していればこそ、自分のことも愛せる。両親、仲間、パートナー、妻、子供、社員、そういった人のうち、1人でも愛することができるか。
(5)挫折や失敗を経験したとき、葛藤や苦しみを知り、より大きな愛に気付き自分にも他人にも優しくなれる
■総評
これまでは、書籍で印象に残った箇所をピックアップしてきましたが、ここからは個人的な見解になります。個人的に、自分自身を愛するとは、次のようなことかなと思いました。
・言いたいことを言える仲間がいること。オープンマインドでいること。
・自分自身の心が満たされていること
・たった1人でも誰か大切な人がいること
・自分の好きなこと、無我夢中になれるものに、使命感を持って取り組んでいる
・自己肯定している⇒自己肯定リストについてはこちら
・束縛を感じていないこと
■自己愛について書かれた他の書籍
ここまで自己愛についてだけで1冊書かれたような本を読んだことがありませんでしたが、最近読んで感銘を受けた本で、自己愛について触れられた書籍の書評記事について紹介します。
【関連記事1】「臆病な僕でも勇者になれた七つの教え」の感想|不器用な生き方の人間でも自己実現できる!
ビジネス書風のファンタジー小説、「臆病な僕でも勇者になれた七つの教え」の書評です。この小説のクライマックスで、強烈に感じるのは主人公の自己愛、自己概念、自己肯定でした。
この本を読んで目からウロコだったし、心が楽になったのは、今でもはっきりと覚えています。
【関連記事2】自分に必要なセルフイメージを高める方法5つ|「目標達成の技術」を再読
アチーブメントの青木社長の代表的な著書「目標達成の技術」の書評です。アチーブメントの受講生の人は、自己愛と聞いてピンと来る人も多いと思います。
「自己愛(自尊心)⇒自己概念⇒価値観⇒信念⇒期待⇒態度⇒現実を決定する」と書かれているように、自己愛の重要性を説いている本を読んだのは、この本が初めてだったように思えます。
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「自分を愛する技術」には、パワーパーソンという言葉が出てきます。パワーパーソンとは何なのか、パワーパーソンになるためにはどうすれば良いのかについて書かれた箇所について書評しました。良かったらこちらも併せてご覧ください。
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【関連記事】自分のことが大好きになって何者にも縛られない人生を送れる8つの方法
これは同じ著者の本「ONE「1つになる」ということ」の書評です。この本もとて印象深い一冊で衝撃的でした。