会社員であれば誰でもそうだと思いますが、誰でも残業なんてしたくないものです。たまに「いくら残業したって、別に仕事が好きだから構わない」と言う人もいると思いますが、そういう人もどちらかといえば、定時で帰ったり休日出勤をしないで帰りたいと思います。ようは程度の差です。仕事が好きと残業が好きは全然違いますからね。
もはや残業のデメリットは言うまでもないと思います。残業手当が付いたとしても、その代わり時間を犠牲にしてしまいます。家庭を持っている人なら家族との時間がなくなってしまいます。副業している人なら、副業に充てる貴重な時間がなくなってしまいます。資格試験直前という人なら、貴重な勉強時間が減ります。
そして、4月から6月にかけては、もう1つ残業のデメリットがあります。社会保険料(厚生年金、健康保険料、介護保険料)が上がってしまうことです。だから、この時期は残業はしない方がいいのです。
社会保険料が値上げされてしまっては、実質的な可処分所得は小さくなりますから。今回は、その辺をいろいろ計算してみたいと思います。
〇社会保険料の計算
「4月から6月は残業しない方がいい」なんて話はどこかで聞いたことのある人も多いと思います。この理由を知るには、社会保険料の計算の仕方を把握する必要があります。
【厚生年金】(労使折半額)
厚生年金保険料=標準月額報酬額×保険料率(※)×1/2
※保険料率は2014.9~2015.9は17.474%。その後2017年9月までに0.354%引き上げられ、最終的には18.3%になります。
【健康保険料】(労使折半額)
健康保険料=標準月額報酬額×保険料率(※)×1/2
※保険料率は各市町村によって異なる。
【介護保険料】(労使折半額)
介護保険料=標準月額報酬額×12/1000×1/2
※納付対象は40歳~65歳未満。
〇標準月額報酬額
各社会保険料標準月額報酬額ですが、4月、5月、6月の給料(報酬)の平均額を用いて算出され、その年の9月に反映されます。
つまり、4月から6月の給料が多ければ多いほど9月以降の社会保険料の負担は大きくなります。例として、残業時間0で額面で30万円貰える40歳以下の会社員が残業手当をもらった場合を例にとって考えてみます。このブログを書いた日は2015年4月ですが、厚生年金保険料率は2017年9月以降固定される18.3%で、健康保険料は東京都の9.97%で計算します。
(1)残業時間0時間の場合(18等級)
300,000円×(0.183+0.0997)×1/2=42,405円
(2)残業代6万円相当の残業(21等級)
360,000×(0.183+0.0997)×1/2=50,886円
(3)残業代11万円相当の残業(23等級)
410,000×(0.183+0.0997)×1/2=57,953円
平均6万円の残業を3ヶ月したということは、標準月額報酬額の計算期間内に計18万円多く給料を貰えたことになりますが、50,886円-42,405円=8,481円ほど負担が増えるため、年間8,481×12=101,772円ほど多く払わなければいけなくなります。
平均11万円の残業を3ヶ月したということは、標準月額報酬額の計算期間内に計33万円多く給料を貰えたことになりますが、57,953円-42,405円=15,548円ほど負担が増えるため、年間15,548×12=186,576円ほど多く払わなければいけなくなります。
これは介護保険料を含んでいませんから、40歳以上なら介護保険料を考慮しなければなりません。厚生年金や健康保険に比べれば小さい額になりますが、バカにならない額です。
言うまでもなく健康保険料を多く払ったところで自己負担額なんか変わりませんし、厚生年金なんて多く払ったって、将来の年金受給額なんか大幅に減るので(年金破綻の可能性もあります)、社会保険料を多く払うメリットは全然ありません。
決して7月以降はバリバリ残業しようと言いたいわけではないですし、4月だからって繁忙期に仕事そっちのけで定時で帰れとも言えませんが、4月から6月の期間に残業してしまうと、これほどの損失を被ってしまうと知っておけば、ダラダラ仕事したり人の目を気にして残業するより、効率的に仕事してさっさと帰ろうという気になると思います^^
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