生命保険の営業のセールストークというものがあります。これから紹介するセールストークは、売り文句というよりも、なぜか一般的な常識と捉えられてしまっている側面もあります。
しかし、人生で2番目大きな買い物と言われる生命保険は、必要以上に加入してしまうことで、経済的に不自由となり、安心を得るどころか不安だらけの人生になってしまいます。
それだけに、保険会社の売り文句を鵜呑みにしてしまうのは、かなり怖いことと言えます。
以下を読んで、「言われてみれば、自分は保険料を払い過ぎかもしれない」と感じた人は今すぐ解約した方が良いでしょう。
この記事の内容
〇参考文献
本記事は、『生命保険は「入るほど損」?!』(後田享著、日本経済新聞出版社)という本の第5章、『「セールストーク」「CM」「キャッチコピー」のツッコミどころ』を参考にしています。
生命保険関係の本のなかでは、かなり良書の部類に入ると思います。必要以上に入りすぎている感じのする人は一読の価値があります。
1冊の本を買うことで、これからの保険料による莫大な損失を防ぐことができるかもしれません。⇒書評はこちら。
■「一生涯の保障が安心です」の罠
このセールストークは、当然ながらこのように言い換えられます。
一生涯の保障が安心です。⇒ずっと契約内容は変わりません。
参考文献に書いてあるように、がん保険を例にとってみます。(以下原文まま)
1989年以前に、50歳手前で加入したがん保険が、70代半ばで発症した「前立腺がん」の治療に役立っていないという事例があります。がん保険で、診断時に100万円といった、まとまった額の給付金が支払われるようになったのは90年以降だからです。
80年代のがん保険は、長期入院とか死亡に手厚い保障が付いたものが多く、通院だけで治せるがんには、全然使えない残念な契約になっているということです。
このように、医療の進歩に従って、必要となる保障なんて年々変わってくるというのに、ずっと契約内容は変わらないというのは、逆に弱点ということです。
生命保険全般に言えることですが、安心を謳っておきながら、実は不安を買ってしまった、ということは結構あるように思います。
■「2人に1人はがんに罹る時代、がんは他人事ではありません」の罠
そもそも、そんな確率でがんにかかるなら、がん保険を売ったって保険会社は損をするだけだ。それか保険料がやたら高いはず。何か裏があるに違いない。
掛け捨ての保険のセールストークには、こういう疑問がふと湧いてきてしまいますが、著者も似たような指摘をしています。
参考文献の著者は、保険に関してはこのような警戒心を持って欲しいと書いています。
似たようなセールストークに「女性特有の病気に女性専用の保険で備えましょう」というのがありますが、これもおかしな話と著者は指摘。
例えば、30代女性が40歳までに乳がんにかかる確率は、わずか1%。40歳からの10年間でも4%です。
診断給付金100万円のがん保険であれば、30代の女性が向こう10年で見込める給付額はわずか1~4万円ということになります。どう考えても、がん保険の保険料とは割が合わないですよね。
なお、2人に1人はがんになるという殺し文句は、生涯でがんになる確率なので、嘘ではないです。男性は62%、女性は46%だそうです。
でも、だからといって生涯通じてがん保険なんて入っていたら、どれほどの金額が保険料で失われるのでしょうか。考えただけで恐ろしくなりますね。
【関連記事】2人に1人はがんになるという根拠の真実|がん保険に入る前に
■「保険料負担も少なくなるので、早めの加入をおすすめします」の罠
これについては、別記事で書いていますので、そちらを参照してください。
【関連記事】保険営業の究極の殺し文句「病気になってからは入れない」の罠
■「持病があっても入れる保険です」の罠
持病があっても入れる保険⇒保険料がやたら高い保険と読み替えることができます。言われてみればしっくりすると思います。(以下、原文まま)
実際、60歳男性が入院日額1万円、手術給付金10万円、新生物の放射線治療1回につき10万円といった保障内容の「健康に不安がある人も入りやすい保険」に加入すると、年間保険料は14万円を超えることがあります。
医療保険でこれは高いですよね。目安として、健康不安のある人の保険料負担は、健康不安のない人の3割増くらいらしいです。