前々から触れてみたいと思っていたココ・シャネルの伝記を読みました。シャネルの伝記は結構ありますし、マンガや名言集も出版されているのですが、今回読んだのは「ココ・シャネルという生き方」(山口路子著、新人物文庫)。
「幼い頃から抱いていた自由に対する強い欲求」「これでもかというほど好き嫌いがはっきりしてる嫌悪の精神」。
冒頭に「シャネルって、そばにいたら嫌な人かもしれないけど、愛しく思えるのはなぜ?」と書いているとおり、どこか自分の生き方と照らし合わせると、ここまで強硬なまでにはっきりした態度を取るシャネルの生き方は、憧れを抱きます。
この記事の内容
■「ココ・シャネルという生き方」の総評
ココ・シャネルの生き方を箇条書きに書くと、まさにこんな感じです。
・自由に対するあくなき欲求
・好きか嫌いか断定的にはっきり言う
・怒りや反発を強烈なエネルギーに変える
・ごまかしを許さず、妥協しない性格
・周りと同じことをするのが嫌い
自分も自由の欲求が強い方なのですが、それゆえに言いたいことが言えなかったり、好きを好きと言えなかったり、嫌いを嫌いと言えないと生きづらさを強く感じていました。
なかには嫌いことを我慢したり、いい人を演じようとして疲れ果ててしまったひともいると思います。で、自分を全然出せずにどんどん心が死んでいく。もう自分が何者かもわからなくなっている。
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こういう人がシャネルの生き方に触れるとどうでしょう。「もっと自分らしさにこだわっていいんだ」「自分を押し殺すことがなんてバカらしいの!」「もっと好き嫌いを正直に言っていいんだ!」「もっと自由を求めていいんだ」そんな気持ちになれると思います。
シャネルの生き方に触れることで、自ら閉じ込めていた本当の欲求が飛び出してくるかもしれません。「もっと自分を出さなきゃ」と死んだ目に輝きを取り戻せるかもしれません。
■好き嫌いがはっきりしてるシャネルの印象的な言葉
本書に乗っていた箇所で、印象に残ったシャネルの言葉を少しだけ紹介していきたいと思います。
〇シャネルはごまかすのが大嫌い
あたしは反抗児だった。そう、あたしはいつも、とても傲慢だった。頭を下げたりペコペコしたり卑下したり自分の考えを押しまげたり命令に従うのは、大嫌いだった。とにかく、人に頭を下げるのはまっぴらだった。(原文まま)
とにかくシャネルは生まれつきごまかしを許さない人だったと言います。自分が責められたとき、自分が悪いかどうか、ぎりぎりまで疑い、決して妥協して謝ったりしなかったと言います。
これは本人は傲慢と表現していますが、傲慢というより、自分を曲げない芯の強さと言ってよく、このシャネルの芯の強さ、ブレない心が成功に結びついたように思います。
〇シャネルは子供の頃から自由を求めていた
傲慢な人間の一番嬉しいことは、自由ということだ。ただ、自由でいるにはお金がかかる。この牢獄の門を開くには、お金しかないとあたしは考えていた。(原文まま)
孤児院に育ったシャネルは、幼い頃から自由に対する欲求が強かった人でした。そして、自由になるためにはお金が必要であることを、孤児院での幼少時代を通して強く感じていたのです。
ひたすら「自由になりたい、自由になりたい、自由になりたい」と願ったそうです。
〇あたしは誰のものでもない
あたしは誰のものでもないのよ、と言える喜びはすばらしい。あたしの主人はあたしで、もう、誰も必要とせず頼ってもいなかった。(原文まま)
独立心が強烈に強かったシャネルは、愛した男に依存することも嫌います。男に何か与えられたら、同じくらいのことを与えていたシャネル。
会社でも家族でも、依存から解放されたほうが、やっぱり幸せですよね。依存し続けるのは、楽だけど生きづらい。そして、本当の自分が死んでしまう。
「自由になりたい。世間、男、評価、出生、恋愛、そういったすべてのものから自由になりたい」(原文まま)
〇シャネルのお金の哲学
受け取るよりは、与える方が、はるかに嬉しい。あたしが浪費することのなかで一番好きなのは、あたしの力。(原文まま)
節約しているのに貧乏になるひともいれば、お金を使いながら裕福になる人もいる。あたしは人を判断するのに、お金の使い方で見分けることにしている。(原文まま)
物を買ったあとで所有し、執着するのは醜い。(原文まま)
シャネルのお金の使い方は、とても大胆だったそうです。誰かを援助したりもしましたが、それを公に明かすことを好まなかったそうです。結果として、それがシャネルの格を上げることになったと言います。
また、シャネルはお金の使い方は大胆でも、モノの所有には使わなかったそうです。いま、お金に苦しんでいる人は見習ってもいいかもしれません。
〇シャネルが語る「シンプル」と「貧しさ」
「シンプル」と「貧しさ」を取り違えることほど馬鹿なことはない。上質の布地で仕立てられた贅沢な裏地をつけた服が、貧しいはずはない。(原文まま)
これについては、別記事で思うところを書いています。
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〇シャネルの嫌悪の精神
あたしは確かな「嫌悪の精神」を持っている。あたしはなにより、嫌いなものを作らない。(原文まま)
誰かから学ぶことなく、ずっと独学でファッション界の頂点に立ったシャネル。この理由はこの嫌悪の精神にあると言います。
シャネルは才能を使って、自分が嫌いなものを一掃したのです。これが成功に結びついたのです。このシャネルの言葉を聞いて、それでも嫌いな仕事をやり続けたいですか?
〇シャネルの結婚観
人は安心や名誉のために結婚する。そんなことはあたしにとって興味がない。(原文まま)
一緒にいる人とうまくいかないことほど惨めなものはない。(原文まま)
愛の物語が幕を閉じたときは、そっと爪先立って抜け出すこと。相手の男の重荷になるべきではない。(原文まま)
恋多き人生を送りながら、生涯結婚することのなかったシャネル。でも、結婚しないからって不幸と言えるのでしょうか。
安心や名誉のために結婚……ってどこかドキッとしませんか。「さすがに結婚しないとかっこ悪い」そんなことを思いながら結婚しようとしていないでしょうか。自分も、そんな考えで結婚はしたくないと思っています。