たかぎなおこさんのコミックエッセイの書評も3つ目。これといって大きく感動して余韻が残るわけではなく、大きな気付きが得られるわけでもないのですが(←これがまたたかぎさんの本の魅力でもありますが)、いつもほのぼのと日常の出来事を共感しやすく書いているので,気付いたら読んでいて、読後とてもほんわかした気持ちになります( ´ ▽ ` )。
「うわー、何だかこの気持ちわかる」と思う同時に、どこかホッとする。こんなゆるく生きられたらどんなに幸せだろう。これで良いんだと、どこか心がリセットされる感じで、心の休息を得られます。
そんなたかぎさんの最新作は、今回は毎回ほとんどどこかで登場する両親がメインの話です。どちらかというとお父さんの方に多くスポットが当てられています。
〇定年退職後の両親を持つ世代の人にぜひ読んでほしい
たかぎさんの本は、正直「気が向いたら買おうかな~」という感じの本もあり、全部持っているわけではないのですが、この本は即買いしてしまいました。
理由は、タイトルに親孝行がついていたからです。自分も遠く遠方に今年70歳になった父親と60代後半の母親を持つので、そろそろ「そろそろ親孝行の数とか増やしていかないとなあ」と思いつつ、「そもそも親孝行ってなんだろうなあ」と感じていたので、まさに今考えていることにぴったりのタイトルだったんです。
実家に帰省した時のエピソードや、お父さんが東京までたかぎさんに会いに来たときのエピソードなんかは、他の本でも書かれていますが、今回はお父さんとの出来事そのものにフォーカスされているので、とても日常的な光景を描いています。
両親と一緒に伊勢神宮に旅行したり、比較的日本語が通じやすい韓国に連れて行ったりしていますが、親孝行だからといって、何か大きな演出をするわけではないのですが、それがまた、リタイア世代の親を持つ世代(30~40代前半ぐらいの方)には、リアルに伝わるところだと思います。
前半、お父さんの好みが意外とわからなかったりするエピソードもあるのですが、これも何だかすごいよくわかる気がします。「あれ?」と思うようなことが最近結構ありますので。別にコミュニケーション不足だったとか、そういうのではなくて、戸惑いながら意外な親の一面が見れたみたいな感じの捉え方が微笑ましい(´∀`*)
この本のいいところは、別に「ぜひ親孝行しよう!!」とか押し付けがましいところが全然なく、ただ最近の両親とのエピソードを書いている感じなのが良い。これは遠方にリタイア世代の親を持つ人はゆるく共感して、心が和むと思います。
露骨に「ありがとう」とか「感謝しています」「大好き」みたいな言葉が出てくるわけではないのですが、ほんわかした愛情を所々感じる描き方は、やっぱりたかぎさんらしいな、と思います。
個人的に印象的なのは、たかぎさんが処女作を出版された際に、両親が勝手に名古屋まで行って、もちろんアポなしで、しかも本棚を整理している書店員さんに話しかけて売り込みの営業していたところです。やはり子供のちょっとした成功は両親はとても嬉しいんだと思います。しっかり自立したところを見せるのもまた親孝行の1つなのかな、と感じてしまいました。
〇親孝行ってなんだろうなあ
タイトルに親孝行という名前が付いていますが、この言葉が出てくるのは最後の方です。しかも「親孝行の仕方がいまいちわからないし、なにが親孝行なのかもわからないけど、これからもたくさん2人の笑顔が見れますように」という感じの締めくくり方。
これは多くの人がホッとしたと思います。「そうか、それで良いんだ」「両親の笑顔を見せられれば、それだけで親孝行なんだ」
自分もそうですが、初老の両親を持つ世代の人が、思わずホッとしたような笑顔を作って読み終えている姿を想像してしまいました。
特別何か大きなことをしなくても良いんだと。ただ、両親の笑っている顔を見れるかどうかが大事なんだと。
自分も親孝行というと、何か特別なことをしなくてはいけないのかな、なんてことを考えていたのですが、たまに電話をかけたり、年に2~3回は帰省したり、遊びに来たときは一緒に観光したり、その程度で良いんだと、ホッと胸をなでおろした感じになりました。
自分の両親もこれといって趣味もなく、たまに帰省しても家でゴロゴロしているだけだったりして、ボケ防止に週2回近所の競馬場で働いているぐらいなんですが、だからといって無理やりどこかに旅行に連れ回したり、そんなことをしなくても良いんだなあっと。
ただ、今のところ元気でいてくれていることに、好きなようにさせてくれたことに感謝するだけでも全然違うんだなあ。
たかぎさんの本の世界観のように、どこかのほほんとした雰囲気の持つ両親ですが、これからもいっぱい会いに行きたいから、いつまでも健康にいてほしいなと感じました。
【参考記事1:たかぎさんのコミックエッセイの書評です】
・「はらぺこ万歳!」読了|ほのぼのとした食のコミックエッセイ
・【うちの犬知りませんか】たかぎなおこさんの泣けるコミックエッセイの感想
【参考記事2:自分の父親のエピソードです】
・高校時代の父親のエピソード|毎日神社でお祈りして応援してた父親