2016年のGWは、最大10連休。ということで、今までやりたくても、やってこなかったことをやってみようと思い、せっかく期間限定の青森県民になったのだから、お隣北海道の南から北を制覇しようと思い、短い行程で函館~稚内間を、JRの特急列車で縦断してみることにしました。
稚内で宗谷岬まで行って、ロシア(厳密には国境未定地だけど)まで近くまで来ているのを、肌で感じたかったし。(稚内の道案内の青看板は、日本語と英語だけではなく、ロシア語の標記もあるんですよ~)
さすがは北海道。全然県境を超えないにも関わらず、全部で9時間の長時間の縦断になりましたが、楽しいというか、とても気分の良い一人旅になりました。
■函館~札幌、そして札幌~稚内
本当は今回、少しでも長く北海道を満喫したいという思いと、費用削減の観点から、路線バスで縦断を目論んでいました。バスでなぜ、長く北海道を満喫できるかというと、札幌~稚内間は夜行バスがあるからです。
夜行バスでぐっすり眠りながら移動すれば、鉄道よりバスのほうが安いし、宿泊費削減になるし、満喫する時間を多く取れますよね。札幌~稚内間の夜行バスは、おそらく日本で唯一県境を超えない夜行バスではないかな……。別記事で書きますが、6時間くらいかかる距離なので、夜行バスがあるのも頷けます。
しかし、思いついたのがGW直前だったので、ネットを検索すると、函館~札幌間、札幌~稚内間のバスともに希望の時間帯はすべて売り切れ……。
結局稚内から札幌に戻るときだけ高速バス(昼間)にして、函館~稚内は結局電車で縦断することにしました。結果的に、それが正解だったのかな。久々に一人旅の楽しさを満喫することができました。
せっかく南北を疾走するのだから、一気に駆け抜けてしまおうと思い、次の行程を踏むことにしました。
(1)13:51特急北斗函館発~17:41札幌着
(2)17:48特急スーパー宗谷3号札幌発~22:58稚内着
※料金は合計15,980円(ちなみに、これ新幹線の新青森~東京ぐらいの値段)
同じ道内にも関わらず、全行程9時間もかかるんですよ!そりゃそうです。何といっても函館~稚内間は700kmありますからね。これ、東京からだったら岡山まで行けるくらいみたいです。
なお、函館駅に着いたのは午前9時くらいです。なので、途中で札幌で降りて時間を潰すことも考えたのですが(みどりの窓口のお姉さんにも提案されたし)、何か一気に駆け抜けたい欲求が強くて、結局函館で時間を潰すことにしました。
まあ、朝市で海鮮丼食べながら朝からビール飲んだり、朝市で実家みやげを買ったり(後日小樽~新潟のフェリーで実家帰るんです)、赤レンガ倉庫にあるおしゃれなスタバでブログを更新したり、有意義な時間を過ごせました。
■北斗の旅行記(函館~札幌)
そもそも北海道にはあまり旅行しない自分。旅行の醍醐味って、次から次へと県境を越えることにあるという変なこだわりが潜在意識にあり、北海道や沖縄旅行にはあまり触手が伸びてなかったんですよね。
せっかく青森県民になったのだから、年に1回くらい函館に行く程度。だから、今回の特急列車の旅はとても新鮮だったのかもしれないです。
何といっても、9時間の旅行にほとんどは、車窓をぼーっと眺めただけでしたから。まあ、寝たい時には寝たりしましたが。
車内には、大きな荷物とともに、函館駅で仕込んできた、缶ビールと乾き物……。朝からビール飲んだのに、昼も遠慮なく頂きます。旅行中に限って、時間関係なくアルコールを求めてしまうのはなぜだろう……。とりあえず、自分の自由の欲求は全開です。
ビールを飲み、おつまみを少しずつかじりながら、車窓から今まで行ったことのない場所を眺めるのは、一言では言い表せないくらいの上質な時間。
一応積ん読していた本を何冊か持って行きましたが、ほとんど読む気になれません。しかも、自分の場合、読んだ本を、そのままブログで書評するので、読書はブログ記事更新の観点からも重要な作業なんですが、それが全然進まない。
もう、北海道の風景を眺めているだけで、本を読むどころではないんです。とはいっても、どこにでもありそうな集落の風景や、変化のない海岸線や野原を走ったりしていたのですが、それが良い。
何というか、どこか無我の境地に入ったような気分。いや、大げさではなくて、心の中が空っぽになったりしました。
もちろん、本州の他県で、似たような旅をしたことがありますが、正直ここまでの気分にはならなかったなあ。もちろん、GW初日という解放感もあるのでしょうが、北海道の自然の風景って、どこか人を惹きつける魔力みたいなのがあるような気がするなあ。
ずっと車窓を見ていたわけではなく、眠くなったら寝たし、本を読みたくなったら本を読んだりしていました。唯一ブログを書くには不便な環境でしたが、書こうと思えば書けます。まあ、今回は敢えてアウトプットの時間を手放してみましたが。
停車駅でないので、本当に一瞬だけでしたが、あの秘境駅で有名な小幌駅も見ることができました。秘境駅マニアっぽい人がカメラ持って、どんな人が使うのかよくわからないような駅を満喫していた光景が見えました。
また、個人的には、「森」という駅が、海岸線沿いに存在するのが気になりました。全然森じゃないじゃないか。猟師ではなくて漁師のいそうな場所なのに、「森」という駅名はどうなんだろう……。そんなどうでも良いことも考えたりしました。
これまで仕事が終わればブログを書き、寝る前や起きた後は読書をして、休日は1日中ブログ書いているか、何らかのセミナーやイベントに参加していた自分。こんな気軽で、お金のあまりかからない贅沢な旅行をしたのは、いつ振りのことだろうか……。
そんなこんなで、頭の中が空っぽになったまま、17:41分、予定通り札幌に到着します。札幌に来たのは10年ぶりで、少し感慨深いものがありましたが、乗り換え時間は7分しかありません。
■スーパー宗谷3号の旅(札幌~稚内)
札幌駅での乗り換え時間はわずか7分。しかし、これが札幌~稚内間の旅の失敗の始まりでした。本当は夕食代わりに、食べ物と飲み物(またビールを買う予定だった……)をキヨスクとかで調達したかったのですが、ちょっと7分では厳しいかな。少なくとも選んでいる時間はありません。
結局何も買わず、ダッシュでスーパー宗谷3号に乗り越えます。7分って微妙な時間です。まっすぐ乗り換えるなら十分な時間ですが、途中で何か買い物したりトイレに行くには不十分な時間。
まあ、電車の中で売り子が駅弁でも売りに来るだろう……。そんな感じで考えていました。だって、特急か新幹線って、だいたいそうじゃないですか。
しかし、この稚内行きの特急列車はそうではなかったのです。待っても待っても売り子は来ない。「あれ!?どうしよう……」
しかも停車駅のほとんどは、停車してすぐに発車してしまう。唯一旭川だけは2分くらい停まっていましたが、2分では何もできない。
これは参りました。結局、札幌~稚内までの5時間、水なし食べ物なしで過ごすことになりました(手術前か!!)。これは失敗だった……。函館で多めに食料を調達するべきだった……。
しかも、旭川に着いた頃には、日はすっかりと沈んでいて、車窓からの風景は真っ暗……。でも、飲食できず、車窓真っ暗の状態、意外と苦痛ではありませんでした。
もはや自分の脳は一種のフロー状態に入っていたのかもしれません。真っ暗な車窓が、なぜか楽しく感じるのです。もはやヘンタイの領域です。
心から楽しむことができると、ちょっとの不自由も苦痛に感じなくなるのか。「まあ、いいや」という気分になります。不思議と、この時間あまり喉も乾かなかったんですよね。
さすがに真っ暗な車窓ばかり眺めるのもあれなんで、読みかけの「羊と鋼の森」(2016年本屋大賞受賞)を読み進めたり、少し寝たりしていました。
そんなこんなで、こんなアナウンスが出てきます。
「これより先、エゾシカなどの野生動物が多数出没する地帯を通過します。急ブレーキすることがありますので……」
おー、野生動物と遭遇するのが大好きな自分にとって、何とも興奮するアナウンスではないか。車窓の風景は既に完全に真っ暗なのが悔やまれます。残念ですが、これは翌日の高速バスでの移動に期待しましょう。
ちょうどこの時、北海道の天気は低気圧で荒れ模様で、4月末だというのに、雪が降っていました。夜の北海道の雪も結構風情があります。この様子は、稚内の旅の記事で書いていきたいと思います。
予定通り、22:58に、日本最北端の駅の稚内駅に到着します。函館から700kmもの距離を進んできたのは、このとき初めて知りました。
稚内駅に降りたのは、ほとんどが観光客と思われるような人ばかりで、列車や駅の構内をひたすら写真撮影する人も多かったです。
駅を出てバス停で宗谷岬行きのバスの時間を確認し、この時間は既にコンビニ(セイコーマート)以外は、何もなかったのと、それぐらい遅い時間だったので、この日はコンビニで少々食べ物を調達し、ホテルにチェックインします。
結局、ホテルの中でブログを1記事書いてしまったので、3時間くらいしか寝る時間がありませんでしたが。稚内と宗谷岬の様子は、また別記事で書きたいと思います。
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とりあえず、駅を出て、道路の青看板にロシア語の標記があることに興奮しました。
■まとめ
函館~稚内を特急でスムーズに行くなら、もうひとつ、
特急北斗3号函館7:28発、11:27札幌着、
特急サロベツ札幌12:30発、稚内18:22着
というのがあります。こちらはどうしても1時間待たないといけないので、食料の調達には困らないと思います。しかし、サロベツに売り子がいないかどうかはわかりません。
函館発が朝一番なので、前日函館に1泊していないと厳しいと思います。
自分のようなパターンで移動を考えている方(函館13:51発、稚内22:58着)は、札幌に到着する前に、事前に飲食料を調達しておく必要があります。
なお、帰りは稚内~札幌間は高速バスで移動しました。
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函館~稚内間は、バスで移動するという手もあります。もちろん、こっちのほうが安価です。
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今回のひとり旅の全体の流れは、こちらの記事でまとめています。こちらも併せてご覧ください。