ストレスのない人生を送る5つの方法|実在の生き心地の良い町から考える

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突然ですが、皆さんが住んでみたいと思う町ってどんな感じですか?皆さんが考えている住みやすい町ってどんな感じですか?

もし、他の地域に比べて、自殺率が突出して低い町、それほどストレスのない人生が送れる町があったとしたら、住んでみたいと思いませんか?

生き心地の良い町があったら素敵だと思いませんか?もし、そんな町があったら、実際にどういう町か、興味が沸いてきませんか?ずいぶん前になりますが、興味深い本を見つけました。

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「生き心地の良い町~この自殺率の低さには理由がある」(岡檀著、講談社)

この本によると、徳島県旧海部町(現在海陽町)は、他の市町村と比較して、自殺率が突出して低いと言います。

全国の自殺率平均値が25.2に対して、旧海部町は8.7と、全国平均の1/3程度です。しかも隣に接する2つの町はそれぞれ26.2と29.7と、若干全国平均を上回り、決して低いとは言えない数字です。

にも関わらず旧海部町だけ圧倒的に低い。これは何かあるに違いない。関心を示した著者は詳細なデータ解析、アンケート結果から、旧海部町に存在する5つの自殺予防因子が浮かんでくると書いています。

■いろんな人がいた方がいい

旧海部町では、赤い羽根募金が集まらないそうです。

他の地域では、赤い羽根募金の募金箱を回すと、だいたいみんな、ほぼ同額のお金を入れていくそうですが、海部町ではそんなことはなく、結果としてそんなにお金が集まらないそうです。

「他の地域では、みんなが入れてくれましたよ」と言っても「あん人らはあん人。いくらでも好きに募金すりゃええが。わしは嫌や」といって、取り合わないみたいです。

「わけのわからんもんには金を払いたくない」と言って、誰がなんと言おうと払わないそうです。

赤い羽根募金がどうのこうの、というわけではなく、何が言いたいかというと、このように旧海部町では、誰かと足並み揃えて行動したり、誰かに義理立てるようなことはせず、それでいて周囲から特別扱いされるようなことはないそうです。

つまり、多様性重視のコミュニティで、いろんな人がいてもいい、むしろいろんな人がいた方がいいという考えです。

自分と違う人を決して排他的に取り扱うようなことはせず、違う価値観を受け入れる文化が自然と根付いているのだそうです。

■人物本位主義

人物本位主義、つまり職歴や地位、学歴に左右されない風土が旧海部町には根強いそうです。

教育長というと、長年教育者としてのキャリアを積んできた中学の校長とかが選任されるケースが多いイメージだが、旧海部町では、全然教育界と関係のない人が選任されるとのこと。

これは年齢についても同様で、旧海部町には年功序列という考えがあまりなく、年少者の意見でも受け入れられやすいと言います。

なので、中学を卒業した年頃の男子が入会してくる相互扶助組織においても、体育会系の部活にありがちな、理不尽なシゴキや暴力は皆無だそうです。

■自己効力感

自己効力感とは、「自分はちゃんとやれている、できている」という感覚です。自己信頼感、有能感と置き換えられることも多いです。

アメリカの心理学者A・バンデューラが提唱した理論で、人間が行動する際の意欲や動機付けに大きく作用する感覚で、教育や健康行動科学でも注目されているそう。⇒自己効力感の詳細についてはこちら

旧海部町は、この自己効力感が高いそうです。つまり、「自分なんかこんなことできないよ……」という気持ちが、他の地域よりも希薄だそうです。

「主体的に行動する文化」と言い換えてもいいでしょう。実際に、海部町の首長では、小さな田舎町には珍しく、長期政権というものが存在しないそうです。

ちなみに、自分自身に対するポジティブな思い込みを形成するには、自己肯定感と、この自己効力感が欠かせないそうです。

自己肯定感については、個人的に自己肯定リスト100を作成しました。どちらかというと自己効力感じゃない?と思われることもありますが、プラスの思い込みを作るには、こういう作業も必要かな、と思います。

ただ、旧海部町は、こういうのが既に文化として根付いているとのことです。

【参考記事】自分の強みを伸ばすために自己肯定リスト100を書いてみた

■悩んでいることは早く打ち明ける

旧海部町には、「病、市に出せ」という文化があるそうです。これはどういうことかというと、病気になったら、すぐに病院に行けということではなく、

「悩みや困っていることがあれば、すぐに打ち明けなさい」という意味だそうです。

助け合いの文化というか、悩みを自己開示しやすい文化があるそうです。

逆に、他の自殺率の高い地域では、悩み事を打ち明けるのに強い抵抗を覚えているのだそうです。「迷惑かけてすまんなあ」という感じでしょうか。

■ゆるやかな繋がり

最近いろんなところで「ゆるく繋がっていこう」という言葉を聞くようになりました。しかし、旧海部町では、それが一種の文化だそう。

物理的密集度が高く、電話の声すら隣の家に聞こえてくるほどだそうで、しかも前日したように助け合いの文化が根付いている。

にも関わらず、一方で隣人間の付き合いに粘質な印象はなく、放任主義で淡白なコミュニケーションが伺えるとのことです。

また、旧海部町では人間関係が固定されていないのだそうです。もともと学校の遊び仲間もいれば、近所の遊び仲間もいる、という感じで、複数のネットワークに属していることで、人間関係の硬直化を防いでいるのだそうです。

■まとめ

著者は、これらの5つの自殺予防因子は、どれが1つでも欠けてはいけないと指摘。どの因子も、それぞれを補完していると言っています。

この5つの自殺予防因子で浮かび上がってくるのは、皆が理想とするコミュニティそのものだということです。

どれが1つ欠けても、いずれ生き辛い時期を味わうことになってしまいそうな、そんな危機感、同時にこのようなことを心がければ、ストレスのない人生を送れるという安心感を得られる本でした。

もちろんこれは地域社会だけに言えることではなく、企業社会にも言えることですが、これら5つの自殺予防因子を備えている会社がどれくらいあるでしょうか?おそらくほとんど皆無ではないかと思います。

でも、各個人で、このような自殺予防因子を身につけることは可能であることも事実だと思います。

各々の意識で、ストレスのない肯定的な人生を送れるか、それともストレスフルな人生を送ってしまうか、大きく違ってしまうと感じました。

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